
「最期は自宅で過ごさせてあげたい」。そう考えても、何から手をつければいいのか分からず立ち止まってしまう方は少なくありません。この記事では、在宅看取りの始め方を、相談先・手配の順番・費用の目安・「そのとき」の動き方まで、40代の家族目線で順を追って解説します。
在宅看取りは「決める・相談する・チームをつくる」の3ステップで始められる
在宅看取りは、特別な医療知識がなくても始められます。大きな流れは、(1)本人と家族で方針を決める、(2)地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する、(3)在宅医と訪問看護を中心にしたチームをつくる、の3つです。手配のほとんどはケアマネジャーが調整してくれるため、家族がゼロから業者を探し回る必要はありません。まずは相談窓口に一本電話を入れるところから始まります。
そもそも在宅看取りとは?病院との違い
在宅看取りとは、住み慣れた自宅で最期の時間を過ごし、自宅で看取ることをいいます。病院との一番の違いは、医師や看護師が常駐していない点です。そのぶん、訪問診療(医師が定期的に自宅へ来る医療)や訪問看護(看護師が自宅でケアを行うサービス)が、24時間つながる体制で家族を支えます。「最期の瞬間に家族だけで対応するのが不安」という声は多いですが、夜間も電話で相談でき、必要なら駆けつけてもらえる仕組みが整っています。
在宅看取りの始め方|5つのステップ
実際の準備は、次の順番で進めるとスムーズです。
- 本人と家族で意思を確認する:どこで、どんな最期を望むかを話し合います。厚生労働省は、もしものときに望む医療やケアを前もって繰り返し話し合っておく取り組みを「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」として勧めています。元気なうちの会話が、後で家族の迷いを減らします。
- 地域包括支援センターかケアマネジャーに相談する:すでに介護サービスを使っているならケアマネジャーへ、これからなら地域包括支援センターへ連絡します。ここが在宅看取りの入口です。
- 在宅医(訪問診療)と訪問看護を手配する:在宅看取りに対応する医師と訪問看護ステーションを決めます。手配や日程調整は基本的にケアマネジャーが行ってくれます。
- 介護保険の申請・福祉用具・住環境を整える:介護用ベッドや手すりはレンタルできます。要介護認定がまだなら早めに申請しておくと、費用負担を抑えられます。
- 24時間つながる体制を確認する:夜間や急変時にどこへ連絡するか、家族全員で共有しておきます。
費用の目安|訪問診療・訪問看護はいくらかかる?
気になる費用ですが、公的保険が使えるため、思っているより抑えられるケースが多いです。あくまで2024年時点の一般的な目安で、訪問回数や診療内容、自己負担割合によって変わります。
| サービス | 1か月の自己負担の目安(1割負担の場合) |
|---|---|
| 訪問診療(月2回程度) | 約7,000円 |
| 訪問看護(介護保険利用) | 約3,400円〜 |
2割・3割負担の方はこの2〜3倍が目安になります。医療費が高額になった場合は「高額療養費制度」で自己負担に上限が設けられ、訪問診療や訪問看護の費用も対象になります。正確な金額は、ケアマネジャーや在宅医に見積もってもらうのが確実です。介護保険で使える制度の全体像もあわせて確認しておくと安心です。
「そのとき」が来たら|呼吸が止まっても救急車は呼ばない
在宅看取りで家族が最も戸惑うのが、息を引き取ったときの対応です。覚えておきたいのは、呼吸が止まっても、あわてて救急車を呼ばないことです。連絡するのは、契約している在宅医か訪問看護ステーションです。救急車を呼ぶと、本人が望まない蘇生処置や搬送につながることがあります。
医師が到着して状態を確認し、死亡を確認したうえで「死亡診断書」を作成します。治療中の病気が原因で、最後の診察から24時間以内に亡くなった場合などは、その場で診断書を出せることが多く、警察が関わることもありません。この死亡診断書がないと、火葬や各種手続きに進めないため、看取りの体制を整える段階で「最期はどこに連絡するか」を必ず確認しておきましょう。亡くなる前に現れる体の変化については、親が食べなくなったときの終末期のサインも参考になります。
家族が無理をしないために
在宅看取りは、家族が24時間つきっきりで介護する、という意味ではありません。訪問介護(ヘルパー)やショートステイ、レスパイト(介護者が休むための一時的な預かり)を組み合わせ、家族が倒れない体制をつくることが長続きのコツです。「もっとこうしてあげればよかった」と後悔しないためにも、抱え込まず、チームに頼ってください。在宅と施設で迷っている段階の方は、看取り介護とは?在宅・施設の選び方と家族の準備ガイドで全体像を確認してから判断するのがおすすめです。
迷ったら、相談の電話一本から始めよう
在宅看取りは、「決める・相談する・チームをつくる」の3ステップで始められます。まずは地域包括支援センターかケアマネジャーへ相談し、在宅医と訪問看護の体制を整えましょう。費用は公的保険と高額療養費制度で抑えられ、「そのとき」の連絡先さえ決めておけば、家族だけで抱える必要はありません。元気なうちの「人生会議」が、後悔のない最期への第一歩になります。
※本記事の制度・費用は2024年時点の一般的な目安です。最新の内容や個別の金額は、お住まいの自治体・地域包括支援センター・ケアマネジャーにご確認ください。
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