要介護・要支援の認定基準と受けられる補助【2026年6月版】完全ガイド

介護保険・制度・手続き
公園を歩く親子|要介護・要支援の認定基準と受けられる補助の解説

親に介護が必要になったとき、最初の関門が「要介護認定」です。「要支援」「要介護」「要介助」って何が違うの? どの区分でいくらまで使えるの? という疑問に、申請の流れから1か月の利用限度額、自己負担割合、住宅改修やお金が戻る制度まで、2026年6月時点の最新ルールでまるごと答えます。この記事1本をブックマークしておけば、役所やケアマネジャーとの会話で迷わなくなります。

  1. 要介護認定の基準と受けられる補助を、まず結論からつかむ
    1. まず整理:「要介護」「要支援」「要介助」は何が違うのか
    2. 認定の全体像:7段階+非該当の早見表
    3. 区分はどう決まる?「要介護認定等基準時間」の正体
      1. 5つの分野+認知症加算で計算される
      2. 各区分の基準時間の境目
      3. 要支援2と要介護1の「分かれ目」
    4. 状態区分ごとの「具体的にどんな状態か」
    5. 認定の受け方:申請から認定までの7ステップ
      1. ステップ1:窓口に申請する
      2. ステップ2:認定調査を受ける(74項目)
      3. ステップ3:主治医意見書が作られる
      4. ステップ4:一次判定(コンピュータ判定)
      5. ステップ5:二次判定(介護認定審査会)
      6. ステップ6:結果が通知される
      7. ステップ7:結果に納得できないとき
    6. 有効期間と更新・区分変更
    7. お金の話①:1か月に使える上限「区分支給限度基準額」
    8. お金の話②:自己負担は1〜3割。あなたは何割?
    9. 受けられるサービス・補助の全体マップ
      1. ① 自宅で受ける「居宅サービス」
      2. ② 住み慣れた地域で受ける「地域密着型サービス」
      3. ③ 施設に入って受ける「施設サービス」
      4. ④ 要支援の方向け「介護予防サービス・総合事業」
      5. ⑤ 司令塔となる「居宅介護支援(ケアマネジメント)」
    10. 区分別「使えるサービスの目安」早見表
    11. 費用が重いとき頼れる、5つの補助制度
      1. ① 高額介護サービス費(1か月の自己負担に上限)
      2. ② 特定入所者介護サービス費(補足給付)
      3. ③ 高額医療・高額介護合算療養費
      4. ④ 福祉用具の貸与・購入
      5. ⑤ 住宅改修(手すり・段差解消など)
    12. 「非該当」だった/「要支援」だったときに使えるもの
    13. 2026年に向けて知っておきたい見直しの動き
    14. よくある質問(FAQ)
    15. 認定調査の当日対策——聞かれる74項目と取り繕い対策
  2. 覚えておくのは「区分→限度額→1〜3割→補助」の流れだけ

要介護認定の基準と受けられる補助を、まず結論からつかむ

結論を先にお伝えします。介護保険のしくみは、ざっくり言えば次の3ステップで動いています。

  1. 認定を受ける……市区町村に申請し、「要支援1〜2」「要介護1〜5」のどれか(または非該当)に判定してもらう。
  2. 使える上限が決まる……区分ごとに「1か月にこれだけ保険で使える」という枠(区分支給限度基準額)が決まる。重い区分ほど枠が大きい。
  3. 1〜3割の自己負担で使う……ケアプランに沿ってサービスを利用し、原則1割(所得により2〜3割)だけ自分で払う。負担が重くなりすぎないよう、お金が戻る制度も用意されている。

つまり「区分が決まる→使える金額が決まる→1〜3割で使う」という流れです。以下、ひとつずつ網羅的に解説します。専門用語には必ず(かっこ)で補足をつけていきますので、知識ゼロからでも読み進められます。

⚠️ この記事は2026年6月時点の制度・金額に基づいています。金額や基準は法改正・自治体の運用で変わることがあります。実際に申請・利用する際は、必ずお住まいの市区町村(介護保険担当課)や地域包括支援センターでご確認ください。

まず整理:「要介護」「要支援」「要介助」は何が違うのか

ここでつまずく方がとても多いので、最初にことばを整理します。

  • 要支援(ようしえん)……介護保険の正式な区分です。「今は大きな介護は要らないけれど、放っておくと要介護になりそう」な状態。要支援1・2の2段階があります。
  • 要介護(ようかいご)……これも介護保険の正式な区分。「日常生活に継続的な介護が必要」な状態で、要介護1〜5の5段階。数字が大きいほど重い状態です。
  • 要介助(ようかいじょ)……実は介護保険の正式な認定区分ではありません。「立ち上がりや歩行に介助(手助け)が必要」といった、日常の状態を説明するときに使われる一般的なことばです。障害福祉の分野で使われる「障害支援区分」や、ケア現場でのADL(日常生活動作=食事・排せつ・入浴などの基本動作)評価の文脈で耳にすることもあります。

整理すると、介護保険で受けられる認定は「要支援1・2」と「要介護1〜5」の合計7段階+『非該当(自立)』です。「要介助」という名前の認定証は出ません。日常会話で「うちの親、要介助ぐらいかな」と言うときは、おおむね「要支援〜軽い要介護あたり」を指していると考えてよいでしょう。この記事では、正式区分である要支援・要介護を軸に解説していきます。

認定の全体像:7段階+非該当の早見表

まずは全体像を1枚の表でつかみましょう。状態の目安、1か月に保険で使える上限額、そして「どんな人が多いか」をまとめました。

要支援・要介護 区分早見表(2026年6月時点)
区分状態のおおまかな目安1か月の利用限度額(目安)
非該当(自立)介護・支援は必要ない。介護保険サービスは原則使えない(市町村の総合事業は使える場合あり)
要支援1基本的に自立。立ち上がりなど一部に見守りや手助けがあると安心。予防が中心約50,320円(5,032単位)
要支援2要支援1より少し低下。家事や身支度の一部に支援が必要約105,310円(10,531単位)
要介護1立ち上がり・歩行が不安定。排せつや入浴の一部に介助が必要なことがある約167,650円(16,765単位)
要介護2食事・排せつ・入浴などに部分的な介助。見守りも必要になってくる約197,050円(19,705単位)
要介護3日常生活全般に介助が必要。立ち上がりや歩行が自力では困難。特別養護老人ホームに申し込める目安約270,480円(27,048単位)
要介護4ほぼ全面的な介助が必要。理解力の低下や問題行動が見られることも約309,380円(30,938単位)
要介護5ほぼ寝たきりに近く、生活全般に常時介護が必要。意思疎通が難しいことも多い約362,170円(36,217単位)

※限度額は「単位」で決められており、1単位はおおむね10円ですが、サービスの種類や地域によって1単位あたりの単価が異なります(都市部ほど高くなる傾向)。上の金額は1単位=10円で計算した目安です。2024年4月の介護報酬改定でも、この区分支給限度額の単位数は据え置かれています。

「状態の目安」はあくまで典型例です。同じ要介護2でも、認知症の有無や本人の暮らし方で必要な支援は変わります。表は「だいたいこのあたり」という地図として使ってください。

区分はどう決まる?「要介護認定等基準時間」の正体

「どうやってこの7段階に振り分けているの?」という疑問にお答えします。カギになるのが要介護認定等基準時間(ようかいごにんてい・とうきじゅんじかん)という指標です。

これは「その人を介護するのに、1日あたりどれくらいの手間(時間)がかかるか」をコンピュータで推計した時間のことです。大事な注意点として、これは実際に家庭で介護に使う時間とは違います。全国の介護施設で行われた「1分間タイムスタディ」という調査データをもとに、統計的に算出される“ものさし”です。「うちは1日3時間も介護してるのに、なんで軽い区分なの?」という誤解はここから生まれます。実際の介護時間そのものではなく、あくまで国の基準に当てはめた推計時間だと理解してください。

5つの分野+認知症加算で計算される

基準時間は、次の5分野について推計し、合計します。

  • 直接生活介助……入浴・排せつ・食事など、体に直接ふれる介助
  • 間接生活介助……洗濯・掃除など、生活まわりの世話
  • BPSD関連行為……認知症にともなう行動(徘徊・興奮など)への対応(BPSD=認知症の行動・心理症状)
  • 機能訓練関連行為……歩行訓練やリハビリ的なかかわり
  • 医療関連行為……たんの吸引、点滴の管理など医療的なケア

これに「認知症高齢者の状態」に応じた認知症加算を上乗せして、最終的な基準時間が出ます。認知症があると、身体は元気でも見守りや対応に手間がかかるため、区分が上がりやすくなるしくみです。

各区分の基準時間の境目

要介護認定等基準時間と区分の対応
1日あたりの基準時間区分
25分未満非該当(自立)
25分以上 32分未満要支援1
32分以上 50分未満要支援2 または 要介護1
50分以上 70分未満要介護2
70分以上 90分未満要介護3
90分以上 110分未満要介護4
110分以上要介護5

要支援2と要介護1の「分かれ目」

表を見て気づいた方もいるはずです。要支援2と要介護1は、基準時間が同じ(32分以上50分未満)なのです。では何で分かれるのか。ポイントは2つです。

  1. 状態の安定性……病状が不安定で、近いうちに介護量が増えそうな人は要介護1に振り分けられやすい。
  2. 認知機能の低下……理解力の低下などで予防的な取り組み(リハビリや指導)の効果が見込みにくい人は要介護1へ。

この振り分けは「状態の維持・改善可能性に係る審査判定」と呼ばれ、次に説明する介護認定審査会(専門家の会議)で判断されます。「要支援2のつもりが要介護1だった/その逆だった」というのは、この分かれ目によるものです。

状態区分ごとの「具体的にどんな状態か」

表だけだとイメージがわきにくいので、区分ごとに「こんな暮らしぶり」という典型像を補足します。あくまで目安で、診断ではありません。

  • 要支援1……身のまわりのことはほぼ自分でできる。ただし掃除や買い物など、立ったりしゃがんだりが必要な家事の一部に手助けがあると安心。転倒予防やリハビリで「今の元気」を保つのが目標。
  • 要支援2……要支援1より体力・動作が落ちてきた段階。歩行や立ち上がりに不安があり、家事のうちできないことが増える。適切な支援で要介護への進行を防げる可能性が高い。
  • 要介護1……立ち上がりや歩行が不安定。入浴や排せつなど、生活の一部に介助が必要になることがある。物忘れなど認知機能の低下が見られ始めるケースも。
  • 要介護2……食事・排せつ・入浴・着替えなどに部分的な介助が必要。見守りがないと不安な場面が増える。要介護1より明らかに手がかかる。
  • 要介護3……日常生活のほぼ全般に介助が必要で、自力での立ち上がり・歩行が難しい。認知症の症状で目が離せないことも。原則として特別養護老人ホーム(特養)に申し込めるのはこの要介護3以上です。
  • 要介護4……ほぼ全面的な介助が必要。日常動作の多くを1人ではできず、理解力の低下や問題行動が見られることもある。在宅では家族の負担がかなり大きくなる段階。
  • 要介護5……ほぼ寝たきりに近く、生活全般に常時介護が必要。意思の疎通が難しいことも多い。たんの吸引などの医療的ケアが日常的に必要なケースもある。

認定の受け方:申請から認定までの7ステップ

「で、結局どうやって申請するの?」に答えます。流れは次の7ステップです。申請からおおむね30日以内に結果が通知されます。

ステップ1:窓口に申請する

申請先はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)です。本人や家族が申請できますが、本人が動けない場合は、地域包括支援センター・居宅介護支援事業所(ケアマネジャーがいる事業所)・介護保険施設などに代行してもらえます。

必要なものの目安は次のとおりです。

  • 要介護・要支援認定申請書(窓口や自治体サイトで入手)
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方に交付されているカード)
  • 40〜64歳の方は医療保険の保険証(健康保険証など)
  • 主治医(かかりつけ医)の氏名・医療機関名がわかるもの
  • マイナンバーがわかるもの、本人確認書類 など

※40〜64歳(第2号被保険者)の方は、末期がんや初老期の認知症など「加齢にともなう特定の16種類の病気(特定疾病)」が原因で介護が必要な場合に限り、申請できます。

ステップ2:認定調査を受ける(74項目)

市区町村の調査員(または委託されたケアマネジャー)が自宅などを訪問し、本人の心身の状態を聞き取り・観察します。これを認定調査といい、全国共通の基本調査74項目(身体機能・生活機能・認知機能・精神や行動・社会生活への適応など)でチェックします。あわせて、調査員が気づいた点を特記事項として文章で記録します。

💡 調査のコツ:本人は遠慮や見栄から「できます」と答えてしまいがちです。普段できないこと・困っていることは、家族が同席してありのままを伝えましょう。良い日・悪い日の波がある場合は「悪い日はこうなる」と具体的に補足すると、実態に近い判定になりやすいです。

ステップ3:主治医意見書が作られる

市区町村の依頼で、かかりつけ医が主治医意見書を作成します。病名や心身の状態、医学的な管理の必要性などが書かれる重要な書類です。費用は市区町村が負担するため、本人の自己負担はありません。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が紹介する医師の診察を受けます。

ステップ4:一次判定(コンピュータ判定)

基本調査74項目と主治医意見書の一部を、国が定めた全国共通のソフトウェアに入力し、要介護認定等基準時間を推計します。これが一次判定です。機械的・客観的に区分の“たたき台”を出す工程です。

ステップ5:二次判定(介護認定審査会)

保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が、一次判定の結果に、認定調査の特記事項と主治医意見書を加えて総合的に検討し、最終的な区分を決定します。これが二次判定です。先ほどの「要支援2か要介護1か」の振り分けも、ここで判断されます。

ステップ6:結果が通知される

原則として申請から30日以内に、認定結果が記載された通知と被保険者証が郵送されます。区分は申請日にさかのぼって有効になるため、結果を待っている間に暫定的にサービスを使い始めることもできます(ケアマネジャーに相談)。

ステップ7:結果に納得できないとき

判定に納得できない場合の選択肢は2つです。

  • 区分変更申請……状態が変わった(または実態と合わない)として、改めて認定をやり直してもらう。実務ではこちらが選ばれることが多いです。
  • 審査請求(不服申し立て)……都道府県の介護保険審査会に対し、通知を知った日の翌日から原則3か月以内に申し立てる。

有効期間と更新・区分変更

認定は一度受けたら一生有効、ではありません。有効期間があり、切れる前に更新が必要です。

認定の有効期間(2026年6月時点)
種類原則市区町村が設定できる範囲
新規・区分変更6か月3〜12か月
更新(前回と同じ区分)12か月3〜48か月
更新(前回と違う区分)12か月3〜36か月

更新で前回と同じ区分になった場合の上限は、令和3年(2021年)4月の改正で36か月から48か月(最長4年)に延びました。状態が安定している人の更新手続きの負担を減らすためです。なお、更新申請は有効期間が切れる60日前からできます。期限を過ぎてしまうとサービスがいったん全額自己負担になりかねないので、通知が来たら早めに動きましょう。

有効期間の途中でも、容体が大きく変わった(急に悪化した・逆に回復した)ときは、待たずに区分変更申請ができます。

お金の話①:1か月に使える上限「区分支給限度基準額」

ここから費用の話に入ります。介護保険には「区分支給限度基準額」という、1か月に保険を使ってサービスを利用できる上限額があります。先ほどの早見表の数字を、もう一度ここにまとめます。

区分支給限度基準額(2026年6月時点・1単位10円換算の目安)
区分単位数(1か月)金額の目安
要支援15,032単位約50,320円
要支援210,531単位約105,310円
要介護116,765単位約167,650円
要介護219,705単位約197,050円
要介護327,048単位約270,480円
要介護430,938単位約309,380円
要介護536,217単位約362,170円

仕組みのポイントを押さえましょう。

  • この枠内なら1〜3割負担で使える……たとえば要介護3で枠いっぱい(約27万円分)使った場合、自己負担1割なら約27,000円です。
  • 枠を超えた分は全額自己負担(10割)……限度額をオーバーしてサービスを使うこともできますが、超過分は保険がきかず全額自己負担になります。
  • 限度額の対象外のサービスもある……居宅介護支援(ケアプラン作成)や、特定福祉用具の購入・住宅改修・施設の食費居住費などは、この区分支給限度額とは別枠で扱われます(後述)。

お金の話②:自己負担は1〜3割。あなたは何割?

利用したサービス費用のうち、自分で払うのは原則1割です。ただし一定以上の所得がある65歳以上の方は2割・3割になります。判定は前年の所得をもとに市区町村が行い、毎年7月ごろに「介護保険負担割合証」が交付されます(有効期間は毎年8月〜翌7月)。

自己負担割合の判定基準(65歳以上=第1号被保険者・2026年6月時点)
割合おもな条件(単身世帯のイメージ)
3割本人の合計所得金額が220万円以上、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で340万円以上(65歳以上が2人以上の世帯は463万円以上)
2割本人の合計所得金額が160万円以上で、3割に該当せず、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で280万円以上(2人以上世帯は346万円以上)
1割上記のいずれにも当てはまらない方(住民税非課税の方、生活保護受給者を含む)

※「合計所得金額」と「年金収入+その他の合計所得金額」の両方の条件を満たして初めて2割・3割になります。判定は世帯の65歳以上の人数によっても変わります。40〜64歳(第2号被保険者)は所得にかかわらず一律1割です。正確な割合はご自身の負担割合証で確認してください。

📌 制度改正の動き:高所得層を中心とした2割負担の対象拡大が国で検討されています(2025年12月時点では厚生労働省が複数の案を提示した段階で、まだ確定していません)。負担増に上限を設ける配慮措置や、預貯金が少ない人は申請で1割に戻す案も議論されています。最新の決定はお住まいの自治体や厚生労働省の発表でご確認ください。

受けられるサービス・補助の全体マップ

ここが多くの方の知りたい中心、「結局どんな補助・サービスが受けられるのか」です。介護保険のサービスは大きく次の5グループに分かれます。順番に見ていきましょう。

① 自宅で受ける「居宅サービス」

住み慣れた自宅で暮らしながら使うサービスです。在宅介護の主役になります。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)……ヘルパーが自宅に来て、入浴・排せつ・食事などの「身体介護」や、調理・洗濯・掃除などの「生活援助」を行う。
  • 訪問看護……看護師が自宅を訪問し、健康チェック・服薬管理・医療的なケアを行う。
  • 訪問入浴介護……専用の浴槽を自宅に持ち込み、入浴を介助する。寝たきりの方に有用。
  • 訪問リハビリテーション……理学療法士などが自宅でリハビリを行う。
  • 通所介護(デイサービス)……施設に日帰りで通い、食事・入浴・レクリエーション・機能訓練を受ける。家族の休息(レスパイト)にもなる。
  • 通所リハビリ(デイケア)……日帰りで通い、医師の指示のもとリハビリを中心に受ける。
  • 短期入所生活介護・療養介護(ショートステイ)……施設に短期間泊まる。家族の用事・休息・急な事情のときに使える。
  • 福祉用具貸与……車いす・介護ベッド・手すりなどをレンタルできる(後述)。
  • 特定施設入居者生活介護……介護付き有料老人ホームなどで受ける介護。

② 住み慣れた地域で受ける「地域密着型サービス」

原則としてその市区町村の住民だけが使える、小規模で地域に根ざしたサービスです。

  • 小規模多機能型居宅介護……「通い」を中心に、必要に応じて「訪問」「泊まり」を一つの事業所で柔軟に組み合わせられる。
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護……1日複数回の定期訪問と、夜間も含む24時間の随時対応。重度でも在宅を続けやすい。
  • 認知症対応型通所介護……認知症の方に特化したデイサービス。
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)……認知症の方が少人数で共同生活を送る。
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護……定員29人以下の小規模な特養。

③ 施設に入って受ける「施設サービス」

区分が要介護(1〜5)の方が対象です(要支援の方は原則使えません)。代表的な3施設は次のとおりです。

3つの介護保険施設の違い
施設性格入所の目安
特別養護老人ホーム(特養/介護老人福祉施設)生活の場。終のすみかになりうる。費用は比較的安め原則要介護3以上
介護老人保健施設(老健)在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設。入所は一時的が基本要介護1以上
介護医療院長期の医療と介護を一体で提供。たんの吸引など医療的ケアが必要な方向け要介護1以上

※有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、上の「介護保険施設」とは別の住まいです。介護は外部サービスや特定施設の指定で受けます。

④ 要支援の方向け「介護予防サービス・総合事業」

要支援1・2の方は、悪化を防ぐための介護予防サービス(介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリなど)を使えます。さらに、要支援の方や「基本チェックリスト」で対象になった方は、市区町村が運営する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)のホームヘルプ・デイサービスを利用できます。総合事業は自治体ごとに内容が異なるのが特徴です。

⑤ 司令塔となる「居宅介護支援(ケアマネジメント)」

在宅でサービスを使うときは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が本人・家族の希望を聞いてケアプラン(サービスの利用計画)を作ります。事業者との連絡調整もしてくれる、いわば介護の司令塔です。この居宅介護支援の費用は全額が保険でまかなわれ、利用者の自己負担はありません(無料)。要支援の方は、地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成します。まず相談すべき相手がケアマネと地域包括支援センターだと覚えておきましょう。

区分別「使えるサービスの目安」早見表

区分とサービスの対応イメージ
サービス要支援1・2要介護1・2要介護3〜5
訪問介護・デイサービス等の在宅サービス○(介護予防型/総合事業)
福祉用具貸与・住宅改修・福祉用具購入○(一部の用具は対象外)
ショートステイ
グループホーム(認知症の方)要支援2のみ○
老健・介護医療院への入所×
特別養護老人ホーム(特養)×原則×(特例あり)

費用が重いとき頼れる、5つの補助制度

「1割でも、毎月積み重なると家計が苦しい」という声は多いです。介護保険には、負担が重くなりすぎないようにするお金が戻る/上限を設ける制度が複数あります。これを知っているかどうかで、年間の負担は大きく変わります。

① 高額介護サービス費(1か月の自己負担に上限)

1か月に支払った介護サービスの自己負担額(1〜3割の合計)が一定の上限を超えると、超えた分があとで払い戻されます。上限額は所得に応じて段階が分かれています。

高額介護サービス費の自己負担上限(月額・2026年6月時点)
区分(おおまかな所得イメージ)上限額(世帯)
課税所得690万円以上(年収約1,160万円〜)140,100円
課税所得380万〜690万円未満(年収約770万〜1,160万円)93,000円
市区町村民税課税〜課税所得380万円未満(一般的な課税世帯)44,400円
世帯全員が市区町村民税非課税24,600円
非課税世帯で年金収入+所得が80万円以下の方など24,600円(世帯)/15,000円(個人)
生活保護を受けている方など15,000円(個人)

※福祉用具の購入費・住宅改修費・施設の食費居住費・支給限度額を超えた自己負担などは、この高額介護サービス費の対象外です。該当しそうなときは市区町村から申請案内が届くことが多いですが、心配なら窓口に確認を。

② 特定入所者介護サービス費(補足給付)

特養・老健・介護医療院・ショートステイなどに入ると、介護費用とは別に食費・居住費(部屋代)がかかります。所得や預貯金が少ない方は、申請して「介護保険負担限度額認定証」を受けると、食費・居住費に負担限度額が設定され、上限を超えた分が保険から支給されます。これを特定入所者介護サービス費(補足給付)といいます。

対象は、本人・世帯全員(配偶者は別世帯でも含む)が住民税非課税で、預貯金などが基準以下の方(利用者負担第1〜3段階)です。グループホーム・有料老人ホーム・サ高住は対象外な点に注意してください。施設入所を検討するなら、まずこの認定が受けられるか確認しましょう。

③ 高額医療・高額介護合算療養費

1年間(毎年8月〜翌7月)の医療保険と介護保険の自己負担を合算し、世帯の上限額を超えた分が払い戻される制度です。医療も介護も両方かかっている世帯の負担を和らげます。「親が入院もしていて介護も使っている」というケースで効いてきます。

④ 福祉用具の貸与・購入

福祉用具は2つのルートがあります。

  • 福祉用具貸与(レンタル)……車いす・特殊寝台(介護ベッド)・床ずれ防止用具・手すり・スロープ・歩行器などをレンタル。1〜3割負担で、区分支給限度額の枠内で使う。
  • 特定福祉用具販売(購入)……入浴や排せつに使う、レンタルになじまない用具(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具部分など)を購入。同一年度(4月〜翌3月)で10万円までを上限に、1〜3割負担で買える(限度額とは別枠)。

※2024年4月から、固定用スロープ・歩行器・単点杖など一部の用具は「貸与(レンタル)か購入か」を選べる選択制が導入されています。どちらが得かはケアマネや福祉用具専門相談員に相談を。

⑤ 住宅改修(手すり・段差解消など)

自宅で安全に暮らせるよう、手すりの取り付け・段差の解消・滑りにくい床材への変更・引き戸への取り替え・洋式便器への取り替えなどの工事費が補助されます。上限20万円までを対象に、1〜3割負担で行えます(限度額とは別枠)。原則1人1回ですが、要介護度が大きく上がった場合や転居した場合は再び使えることがあります。必ず工事の前に申請が必要なので、着工前にケアマネ・市区町村に相談してください。

「非該当」だった/「要支援」だったときに使えるもの

申請しても非該当(自立)と判定されることもあります。落胆しなくて大丈夫。市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)には、要介護認定がなくても「基本チェックリスト」で対象になれば使える通所・訪問サービスや、体操教室・通いの場などの一般介護予防事業があります。地域包括支援センターに相談してみましょう。

要支援1・2と判定された場合も、前述のとおり介護予防サービスと総合事業が利用できます。「軽いから何も使えない」のではなく、「悪化させないために今こそ使う」段階です。

2026年に向けて知っておきたい見直しの動き

介護保険は3年ごとに大きく見直されます。2026年6月時点で注目しておきたいのは次の2点です。いずれも生活に直結するので、自治体からのお知らせに目を通しておきましょう。

  • 2割負担の対象拡大の検討……前述のとおり、これまで1割だった層の一部を2割にする案が国で議論されています(2025年12月時点で案の提示段階)。
  • 補足給付(食費・居住費)の見直し……2026年8月(令和8年8月)から、施設の居住費の補足給付や利用者負担段階の一部を見直す方向で検討・調整が進められています。施設入所中・検討中の方は影響を受ける可能性があります。
⚠️ これらは検討・調整段階の内容を含みます。確定した内容・施行日は、お住まいの市区町村や厚生労働省の公式発表で必ずご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 申請にお金はかかりますか?
A. 要介護認定の申請自体は無料です。主治医意見書の作成費も市区町村が負担します。
Q. 結果が出るまでどれくらい? その間サービスは使えない?
A. 原則30日以内に通知されます。急ぐ場合はケアマネに相談すれば、結果を待つ間に暫定ケアプランでサービスを使い始められます。認定は申請日にさかのぼって有効になります。
Q. 親が「自分は元気だ」と調査で見栄を張りそうです。
A. よくあることです。調査には家族が同席し、できないこと・困っていることを具体的に伝えましょう。日によって状態が違う場合は「悪い日はこうなる」と補足を。実態に近い判定につながります。
Q. 区分が思ったより軽く出ました。どうすれば?
A. 「区分変更申請」で認定をやり直してもらえます。納得できなければ都道府県の介護保険審査会への審査請求(通知を知った日の翌日から原則3か月以内)も可能です。実務では区分変更申請が選ばれることが多いです。
Q. 40代でも介護保険は使えますか?
A. 40〜64歳の方は、末期がんや若年性認知症など「加齢にともなう特定の16種類の病気(特定疾病)」が原因の場合に限り、認定を受けてサービスを使えます。それ以外の原因(事故など)では介護保険の対象外で、障害福祉などほかの制度を検討します。
Q. まず誰に相談すればいい?
A. お住まいの地域の地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口・無料)か、市区町村の介護保険担当課です。申請の代行もしてもらえます。

認定調査の当日対策——聞かれる74項目と取り繕い対策

要介護認定の申請後にある「認定調査」。当日に聞かれる74項目と、結果を左右する取り繕い(元気なふり)対策、メモ・立ち会い・主治医意見書の準備を、40代の家族目線でまとめた記事です。

要介護の認定調査で聞かれること|当日の準備と取り繕い対策

覚えておくのは「区分→限度額→1〜3割→補助」の流れだけ

情報量が多くなりましたが、骨組みはシンプルです。①市区町村に申請して区分(要支援1〜2・要介護1〜5)が決まる→②区分ごとの限度額の範囲で→③1〜3割の自己負担で使い→④高額介護サービス費や補足給付、福祉用具・住宅改修などの補助で負担を抑える。この4ステップさえ頭に入れておけば、あとは専門家に頼れます。

最初の一歩は、地域包括支援センターか市区町村の介護保険窓口に電話すること。「親の介護で困っていて、要介護認定を申請したい」と伝えるだけで、その先は担当者が案内してくれます。迷ったら、まずこの記事をブックマークして、窓口に連絡してみてください。

※本記事は2026年6月時点の制度・金額に基づく一般的な解説です。金額・基準・制度内容は法改正や自治体の運用により変わります。実際の申請・利用にあたっては、必ずお住まいの市区町村(介護保険担当課)・地域包括支援センター、または担当ケアマネジャーにご確認ください。