
敬老の日に後悔しない親との時間の過ごし方は、今の親の状態を知ることから

「敬老の日、今年こそちゃんと親との時間をつくりたい」。この介護体験談は、そう思いながら結局いつもと同じ電話だけで終わらせてしまった年が何度もあった私が書いています。振り返って気づいたのは、後悔しない過ごし方はひとつではないということです。親が在宅で元気に暮らしているのか、もの忘れなど認知症の兆候が出始めているのか、すでに施設に入っているのか。親の状態によって、今できる過ごし方の中身は変わります。私の場合は、今の親をちゃんと見ることから始めるしかありませんでした。離れて暮らす親と敬老の日をどう過ごすか迷っている方の参考になればと思います。
在宅で元気に暮らす親と敬老の日を過ごすなら

まだ介護が始まっていない時期、私も「まだ大丈夫」と思い込み、贈り物を送るだけで済ませていました。ある年、電話越しに母の声がいつもより疲れているように感じて、思い切って直接会いに行きました。玄関を開けた瞬間、想像していたより台所に洗い物がたまっていて、驚いた記憶があります。話を聞くと、庭の手入れが億劫になってきたと、初めて本音をこぼしてくれました。「まだ元気だから」という油断は、後悔の芽になりやすいと感じています。もしあなたの親がまだ在宅で元気そうに見えても、今困っていることがないか、電話ではなく顔を見て聞く時間をつくってみてほしいです。贈り物より、生活の様子を直接たしかめることのほうが、後になって「聞いておけばよかった」と思わずに済む気がしています。在宅介護の親孝行は、特別なことより日常の会話の中にあるのかもしれません。
認知症の兆候が見え始めた親との敬老の日
同じ話を何度も繰り返す、置き忘れが増える。そんな小さな変化に気づき始めたのは、去年の敬老の日の少し前でした。診断はまだ受けていません。病院に行くべきか様子を見るべきか、宙ぶらりんな不安を抱えたまま当日を迎えました。私が選んだのは、いつもと変わらない態度で接することでした。「最近忘れっぽいね」とは言わず、好きだった話題を振って、笑ってくれる時間を大切にしました。これが正解だったのかはわかりません。専門的な診断や治療法の話ではなく、家族として「あれ、何か違うかも」と感じた小さな違和感に、どう向き合うかという話です。もしあなたも同じような戸惑いの中にいるなら、無理に確かめようとせず、いつも通りに接する日があってもいいのではないでしょうか。
すでに施設に入居している親と敬老の日を過ごすなら

面会時間が15分しかない日もありました。何を話せばいいのかわからず、当たり障りのない世間話だけで終わってしまい、部屋を出てから「もっと聞きたいことがあったのに」と後悔したことがあります。次の施設面会では、昔の写真を数枚持って行きました。写真を見せながら「このときどこに行ったんだっけ」と聞くと、普段より表情が動き、昔の話をたくさんしてくれました。短い時間でも、話す糸口があるだけで中身が変わると実感しました。面会に行けない年もありますが、行けたときにどう過ごすかは、事前に少し準備しておくだけで違ってくると思っています。
【山本利也(ケアマネージャー)からのひとこと】
施設のケアマネとして面会の様子を見ていると、短い時間でも「今日困っていることはある?」と一言聞くご家族は、ご本人の表情が変わる瞬間が多いように感じます。実際、月に数回しか会えない方でも、この一言があるかないかで会話の深さが違ってきます。施設出身なので、入る側の気持ちも少しわかる気がしています。ぜひ次の面会で試してみてください。
今のうちにできる小さな一歩
親がどんな状態であっても、共通してできることがあると感じています。それは、エンディングノートを一緒にのぞいてみることです。かしこまった話し合いにする必要はありません。敬老の日のついでに「こういうのもあるんだね」と軽く見せるだけでも十分だと思います。私の場合は、親の希望を聞くのが正面からだと怖くて、なかなか言い出せませんでした。それでも、雑談の延長で「もし何かあったらどうしたい?」と聞いてみたら、思っていたより淡々と答えてくれました。重い話にしないことが、続けられるコツなのかもしれません。あなたも、今年の敬老の日にほんの少しだけ、そんな話題をはさんでみませんか。
エンディングノートは、いきなり重い話し合いをしなくても、雑談のきっかけとして手元に置いておくだけで役に立ちます。ページをめくりながら「これ、どう思う?」と軽く聞いてみるところから始めてみませんか。エンディングノートをAmazonで探す
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介護をしていると、誰にも言えない気持ちを抱え込んでしまうことがあります。私自身もそうでした。そうした孤独について詳しくまとめた記事もありますので、よければ介護の孤独、誰にも言えなかった話もあわせて読んでみてください。

