成年後見制度の申し立て費用と手続き完全ガイド

相続・財産管理

成年後見制度の申し立てで支え合う手元のクローズアップ

成年後見制度の申し立て費用と手続き|自分で2〜3万円、専門家依頼で16万円〜が目安です

成年後見制度の申し立て費用と手続き|自分で2〜3万円、専門家依頼で16万円〜が目安です
成年後見制度の申し立て費用と手続き

親が認知症と診断されたとき、預金の引き出しや不動産の売却など、財産管理で壁にぶつかることがあります。

そのときに必要になるのが成年後見制度の申し立て手続きです。

費用・書類・期間・10年の長期コストまで、40代が知っておくべきポイントをまとめました。

成年後見制度の申し立て手続き|6つのステップ

家庭裁判所に申し立ててから後見人が決まるまでは、以下の流れが一般的です。

  1. 管轄家庭裁判所の確認:本人の住所地を管轄する家庭裁判所を調べます。
  2. 書類収集・準備:戸籍・診断書・財産目録などを揃えます(目安2〜4週間)。
  3. 申立書類の提出:家庭裁判所の窓口または郵送で提出します。
  4. 審理・調査:裁判所の調査官が本人・申立人と面接し、必要に応じて鑑定(認知症の程度を医師が評価)を行います。
  5. 審判:後見人が選任されます。
  6. 審判確定・登記:審判書が届いてから2週間で確定し、法務局に登記されます。

申し立てから審判確定まで概ね2〜4ヶ月かかります。

鑑定が必要と判断された場合は4ヶ月を超えることもあるため、余裕をもって動き始めることが大切です。

成年後見の申し立てに必要な書類一覧

必要書類の区分
区分 主な書類
申立人が作成 後見開始申立書、申立事情説明書、親族関係図、財産目録、収支予定表、後見人候補者事情説明書、親族の意見書
取得が必要 本人・申立人の戸籍謄本/住民票、登記されていないことの証明書(法務局)、医師の診断書(3ヶ月以内)、本人情報シート、後見人候補者の住民票等

「登記されていないことの証明書」は法務局で取得します。

診断書は指定書式を医師に渡して作成してもらう必要があり、費用は数千円〜1万円程度が目安です。

家庭裁判所への後見申し立て費用|申立時の実費まとめ

申立時の費用目安
項目 金額
申立手数料(収入印紙) 800円
後見登記手数料(収入印紙) 2,600円
送達費用(郵便切手) 約4,000円分
診断書発行費 数千円〜1万円程度
鑑定費用(必要な場合のみ) 5万〜10万円以内が大半
司法書士・弁護士への報酬(任意) 10万〜30万円程度

合計の目安は、自分で手続きする場合は2〜3万円(鑑定ありの場合は最大15万円前後)です。

司法書士や弁護士に依頼する場合は16万円〜数十万円が相場です。

司法書士に後見申し立てを依頼する費用の相場

司法書士への依頼報酬は事務所によって異なりますが、10万〜30万円程度が一般的な相場です。

書類収集の代行範囲・複雑さによって変わるため、複数の事務所に見積もりを取ることをおすすめします。

弁護士に依頼する場合はさらに高くなるケースがあります。

成年後見の費用総額|10年で試算すると

申し立て時の費用だけでなく、後見が続く限り毎月コストが発生する点を押さえておく必要があります。

後見人報酬の目安(月額)
後見人の種類 月額報酬
家族後見人 無報酬が多い(申請すれば月2〜3万円)
専門家後見人(司法書士・弁護士等) 月3〜6万円程度
後見監督人(選任された場合) 月1〜3万円程度

専門家後見人が選ばれた場合、月4万円×120ヶ月(10年)で約480万円になります(月額は管理財産額に応じて変動)。

申立費用は一時的なものですが、長期コストの方が総額ではるかに大きくなる点に注意が必要です。

後見人に家族が選ばれない理由

申し立て時に家族を後見人候補者として記載しても、必ずしも選任されるわけではありません

裁判所が適切と判断した人物を選ぶため、専門家(司法書士・弁護士・社会福祉士等)が後見人となるケースが多数あります。

家族が後見人に選ばれやすくするためには、以下の点が有効とされています。

  • 財産管理の記録・帳簿を整備しておく
  • 定期的な報告態勢(収支記録の習慣)を示す
  • 親族間で後見方針について合意を取っておく

兄弟間で意見が分かれると選任に影響することもあります。

相続をめぐる家族間のトラブル予防については、相続で兄弟が揉める原因と対策もあわせてご覧ください。

家族が後見人に選ばれるためには、日頃からの財産管理記録が重要です。専用の介護・財産管理ノートを使うと、収支の記録や医療情報の整理がしやすくなります。介護・財産管理ノートをAmazonで探す

成年後見制度2026年改正|いつから変わるのか

2026年6月、成年後見制度の改正法が国会で成立しました。

主な改正内容は次の2点です。

  • 終身制の廃止:一定期間で終了できる「有期利用」が可能になる
  • 支援内容の個別化:本人の状況に合わせた柔軟な支援に見直される

ただし、施行は早くて2028年頃の見込みです(最新の施行予定日は法務省の公式発表をご確認ください)。

現時点で申し立てを行う場合は、改正前の現行制度が適用されます。

成年後見と家族信託、どちらを選ぶか

親の財産管理に悩む40代の方に「家族信託との違いがわからない」というケースがよくあります。

成年後見制度と家族信託はそれぞれ適した場面が異なります。

両者の違いを詳しく知りたい方は、成年後見と家族信託の違い7つをご参照ください。

申し立てを進める前に確認しておくこと

成年後見制度の申し立ては、一度始めると取り下げが難しく、後見が開始されると原則として本人が亡くなるまで続きます(現行制度)。

急いで申し立てる前に、以下を整理しておくと判断しやすくなります。

  • 本人の判断能力の現状(医師の見立て)
  • 親族間での合意状況
  • 毎月の後見人報酬を長期的に負担できるか

家庭裁判所や司法書士への相談は無料または低額で受けられる窓口もあります。

費用だけでなく制度全体の仕組みを理解した上で、手続きを進めることをおすすめします。

成年後見制度の手続きや費用をもっと詳しく知りたい方には、専門家監修の解説書が参考になります。申し立て前に一度通読しておくと、手続きの全体像をつかみやすくなります。成年後見制度の解説書をAmazonで探す