「認知症かもしれない親の通帳、このままで大丈夫?」と不安になっていませんか。親の通帳管理は、高齢者本人が元気なうちに準備しておかないと、いざというときに家族でも引き出せなくなります。この記事では、40代から始める通帳管理の現実的な選び方と、口座凍結を防ぐ4つの仕組みを整理しました。
親の通帳管理は「元気なうちの仕組み化」で決まる
結論からお伝えすると、親の通帳管理は判断能力が下がる前に「誰がどう動かすか」を文書で残しておくことが最重要です。準備なしのまま認知症が進むと、家族であっても口座を凍結され、入院費や施設費の支払いに困る家庭は少なくありません。
選べる手段は大きく4つあります。費用や手間が異なるため、親の状態と家族構成に合わせて選ぶのが現実的です。
| 仕組み | 準備時期 | 費用目安 | 向いている家庭 |
|---|---|---|---|
| 代理人指定(代理人カード) | 親が元気なうち | 無料〜数千円 | とりあえず生活費を引き出したい |
| 財産管理委任契約 | 親が元気なうち | 5万〜10万円 | 不動産や複数口座も任せたい |
| 任意後見契約 | 親が元気なうち | 10万〜30万円 | 判断能力が落ちてからも継続したい |
| 家族信託 | 親が元気なうち | 30万〜100万円 | 資産が多く長期で運用・管理したい |
以下、それぞれの中身と注意点を順に解説します。
認知症と診断されると口座は凍結される
銀行は本人の判断能力が低下していると判断すると、預金口座を凍結します。窓口で本人の様子がおかしい、家族が代わりに大金を引き出そうとする、といったきっかけで凍結が起こるケースが多いです。
凍結されると、家族であっても通帳と印鑑を持っているだけでは引き出せません。介護費用や医療費を一時的に立て替える家族の負担はかなり大きく、解除には成年後見人の選任(数か月かかる)が必要になります。
「うちの親はまだ大丈夫」と思っているうちに準備するのが、結果的に一番ラクです。認知症 通帳 どうするかは、診断が出てからでは選択肢が一気に狭まります。
すぐ動かせる「代理人指定(代理人カード)」
多くの銀行で、本人が元気なうちに家族を「代理人」として登録できます。発行された代理人カードがあれば、家族がATMで生活費を引き出せます。手続きは支店窓口で本人と一緒に行うのが基本です。
注意点は2つあります。1つ目は、銀行ごとに引き出し上限額が決まっていること(1日50万円までなど)。2つ目は、本人の判断能力が低下した時点で代理人カードも使えなくなる銀行があることです。あくまで「元気なうちの当座しのぎ」と考えてください。
親 銀行口座 代理を文書化する「財産管理委任契約」
財産管理委任契約は、親が子に対して銀行手続き・年金受け取り・公共料金の支払いなどを任せる契約です。公正証書にしておくと、銀行側にも提示しやすく信頼性が高まります。
こんな家庭に向いています。
- 親が遠方に住んでいて、家族が日常的に手続きを代行したい
- 不動産や複数の口座をまとめて管理したい
- 親はまだ意思はしっかりしているが、体が不自由になってきた
ただし、契約は親の判断能力が低下すると効力が薄れます。長期的な備えとしては、次に紹介する任意後見契約とセットで結ぶのが安心です。
銀行口座・保険・印鑑の場所などを親と一緒に書き出しておくと、いざというときの家族の動きがぐっとラクになります。書き込み式で人気なのが、コクヨの「もしもの時に役立つノート」です。1冊で家族の備忘録としてまとめられ、年に一度の更新でも十分に役立ちます。コクヨ エンディングノート(B5)をAmazonで見る
判断能力が落ちてからも続く「任意後見契約」
任意後見契約は、親が元気なうちに「将来、判断能力が低下したらこの人に財産管理を任せる」と公正証書で決めておく仕組みです。実際に判断能力が低下した時点で、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てると効力が始まります。
メリットは、後見人を自分で選べること。法定後見(家庭裁判所が選任する成年後見)では、知らない弁護士や司法書士が選ばれることもあります。任意後見なら、信頼できる家族や専門家を事前に指名できます。
注意点として、家庭裁判所の監督が入るので、後見人への報酬(月2万〜3万円ほど)が発生するケースが一般的です。詳しい流れは、相続・財産管理の総合ガイドである兄弟で揉めない相続対策の総合ガイドもあわせて読んでみてください。
家族で柔軟に管理できる「家族信託」
家族信託は、親(委託者)が子(受託者)に財産の名義を移し、決められた目的の範囲で子が管理・運用できる仕組みです。家庭裁判所の監督が入らないため、柔軟な運用ができます。
不動産を含む資産が多い家庭や、二次相続まで設計しておきたい場合に向いています。一方で、初期費用が30万円以上かかること、信頼できる司法書士・弁護士に依頼する必要があることがハードルです。
家族信託は仕組みが複雑なので、契約前に家族で全体像をつかんでおくと話がスムーズです。会話形式で読みやすい入門書として、宮田浩志氏の「図解 2時間でわかる!はじめての家族信託」が読まれています。「はじめての家族信託」をAmazonで見る
通帳を預かるときに家族でやっておく3つのこと
制度を使うほどではないが、当面は家族が通帳を預かるという家庭も多いと思います。高齢者 お金 管理 家族の現実的な対応として、次の3つを最低限やっておくと、後の兄弟トラブルを防げます。
- 家族会議で「誰が管理するか」を共有する:きょうだいがいる場合、勝手に通帳を預かると後で「使い込んだのでは」と疑われがちです。LINEグループでもいいので情報共有のルールを決めましょう。
- 収支ノートと領収書を残す:いつ・いくら・何のために引き出したかを記録し、レシートを保管します。本人や他のきょうだいへの説明資料になります。
- 本人の同意を書面に残す:「通帳を預かる旨を本人が了承した」というメモに、日付と本人の署名を添えるだけでも違います。
※制度内容や手数料は2025年1月時点の一般的な情報です。最新の条件は各金融機関・専門家にご確認ください。
まとめ:判断能力があるうちに動くのが正解
親の通帳管理は、認知症と診断されてからでは選択肢が一気に狭まります。まずは銀行の代理人指定で当座の引き出しを確保し、長期的には任意後見契約や家族信託で「判断能力が落ちてからも続く仕組み」を用意するのがおすすめです。
今週末にでも、親に「通帳どこにあるか教えて」と声をかけるところから始めてみてください。最初の一歩が、5年後のあなたを助けます。

