
お盆や年末の帰省で久しぶりに親と顔を合わせると、ふと「うちの親、終活は何から手をつけているんだろう」と気になりませんか。この記事では、親の終活を何から始めるか、その順序とエンディングノートの中身・書き方、そして財産整理の第一歩までを、子世代が親にどう促すかの目線でわかりやすくお伝えします。
親の終活は何から?まずはエンディングノートで「情報の見える化」から始める

結論からお伝えします。親の終活で何から手をつけるか迷ったら、まずはエンディングノートで情報を見える化することから始めるのがおすすめです。いきなり遺言書や相続の話を切り出すと、親は身構えてしまいがちです。
その点エンディングノートは「もしものとき家族が困らないための覚え書き」なので、親も比較的とっつきやすいものです。財産・連絡先・希望などをひとつにまとめておくだけで、いざというときの家族の負担が大きく変わります。順序としては、(1)エンディングノートで情報整理→(2)財産目録づくり→(3)必要なら遺言書、という流れが進めやすい形です。
帰省のタイミングが終活を切り出すチャンスになる理由

終活の話は、日常の電話ではなかなか切り出しにくいものです。だからこそ、お盆や年末の帰省で顔を合わせるタイミングが、自然に話を始めるよい機会になります。
切り出すときのコツは、「死」を前面に出さないことです。「最近こういうノートがあるらしいよ」「私たちのためにも書いておいてくれると助かるな」といった、家族のための備えという伝え方だと、親も受け入れやすくなります。あなた自身のエンディングノートを先に書いて見せると、よりスムーズに話が進むこともあります。
エンディングノートに書いておくと安心な5つの項目
エンディングノート(終活ノート・もしもノートとも呼ばれます)には、決まった書式はありません。市販のものや自治体配布のもの、ふつうのノートでも構いません。最初から完璧を目指さず、書ける項目から埋めていくのが続けるコツです。次の5項目は、家族が特に困りやすいポイントです。
- お金まわりの情報:銀行口座、保険、年金、加入サービスの一覧
- 連絡先リスト:親族・友人・かかりつけ医・専門家など
- 医療や介護の希望:延命治療や介護への考え方
- 身のまわりのこと:ペット、デジタル機器のパスワードの保管場所
- 葬儀やお墓の希望:宗派、連絡してほしい人など
口座情報の整理は、認知症などで親が自分の口座を管理できなくなったときにも役立ちます。元気なうちに把握しておきたい方は、親の通帳管理の備え方もあわせてご確認ください。
財産整理の第一歩は「財産目録」づくり
エンディングノートのお金の項目をもう一歩進めたものが、財産目録です。財産目録とは、プラスの財産(預貯金・不動産・株式など)とマイナスの財産(借入金など)を一覧にしたものです。これがあると、相続のときに「何がどこにいくらあるか」で家族が悩まずに済みます。
| 区分 | 書き出す内容の例 |
|---|---|
| 預貯金 | 銀行名・支店・口座種別(残高は概算でOK) |
| 不動産 | 土地・建物の所在地、登記の有無 |
| 有価証券 | 証券会社名、株式・投資信託など |
| 保険 | 保険会社名、受取人 |
| 負債 | 借入金、ローンの残高 |
金額は変動するので、ざっくりとした概算で構いません。まずは「どこに何があるか」を書き出すことが、相続準備の確実な第一歩になります。財産の全体像が見えると、相続が「揉めごと」になりにくくなります。兄弟間のトラブルを防ぐ視点は、相続で兄弟が揉めないための対策もご参考にしてください。
エンディングノートに法的効力はない、ここが大事なポイント

ここはとても大切なので、はっきりとお伝えします。エンディングノートには法的効力がありません。あくまで家族への「お願い」や「覚え書き」であって、書いた内容どおりに相続が実行される保証はないのです。
一方で、相続の最終的な意思を法的に残すには遺言書が必要です。遺言書には、公証役場で作る公正証書遺言や、自分で書く自筆証書遺言などの形式があります。「誰に何を遺すか」をきちんと決めておきたい場合は、エンディングノートとは別に遺言書を準備するのが安心です。両者は役割が違う、と覚えておいてください。
なお、延命治療や医療の希望は、エンディングノートにも書けますが、本人・家族・医療者で話し合っておく「人生会議(ACP)」という取り組みもあります。医療や介護の意思表示について深く知りたい方は、人生会議(ACP)とはの記事で棲み分けを確認しておくとよいでしょう。
「相続税がかかるかも」と心配な家庭が知っておきたい目安
財産目録づくりが進むと、「うちは相続税がかかるの?」という疑問が出てくることがあります。相続税には基礎控除という非課税枠があり、相続財産がこの枠内なら相続税はかかりません。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します(2026年6月時点)。たとえば法定相続人が3人なら、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が目安です。ただし不動産の評価などで計算は複雑になります。気になる場合は、税務署や税理士など専門家に相談するのが確実です(※最新の制度は各自治体・専門家にご確認ください)。
無理なく終活を進める3つの心がけ
終活は一度に終わらせる必要はありません。親が前向きに取り組めるよう、次の3つを心がけてみてください。
- 一度で完璧を目指さず、書ける項目から少しずつ進める
- 主役はあくまで親。子は「手伝う」「促す」立場に徹する
- ノートの保管場所は家族で共有しておく
親のペースを尊重しながら、帰省のたびに少しずつ話題にしていくくらいがちょうどよい進め方です。
この夏、親と話したいことの整理

親の終活は、まずエンディングノートで情報を見える化し、次に財産目録で財産を整理する、という順序で進めるのが取り組みやすい形です。エンディングノートには法的効力がないため、相続の意思をきちんと残したいなら遺言書もあわせて検討しましょう。
次の帰省では、いきなり相続の話をするのではなく、まずは「もしものときのために、連絡先や口座のことだけでもメモしておこうか」と声をかけてみてください。その一言が、家族みんなが安心して過ごすための、確かな第一歩になります。

