個別避難計画の作り方|高齢の親と防災の日にすべきこと

40代が直面する介護の実態

高齢の親と歩く個別避難計画の作り方|防災の日

個別避難計画の作り方|高齢の親と防災の日にすべきこと

個別避難計画の作り方|高齢の親と防災の日にすべきこと

9月1日は防災の日です。離れて暮らす高齢の親のことを考えると、地震や豪雨のときにひとりで避難できるだろうかと不安になる方も多いのではないでしょうか。実は自治体には、体の不自由な高齢者や一人暮らしの高齢者を対象に、災害時の避難方法を一人ひとり決めておく「個別避難計画」という仕組みがあります。また、支援が必要な方の情報をあらかじめまとめておく「避難行動要支援者名簿」という仕組みも用意されています。この機会に、高齢の親のための個別避難計画の作り方を確認しておきましょう。ただし対象になる条件も申し込みの進め方も、自治体によってかなり違います。まず最初にお伝えしたいのは、親が住んでいる自治体の窓口に「うちの親は対象になるか」を確認することから始めてみましょう、ということです。

個別避難計画の対象になりやすい人の目安

個別避難計画の対象になりやすい人の目安

個別避難計画の対象は、自治体によって基準が異なります。一般的には、要介護3以上など介護度が高い方や、一人暮らしの高齢者、身体障害者手帳をお持ちの方などが対象に含まれやすい傾向にあります。また、認知症の症状がある方や、同居家族が高齢・病弱で支援が難しい世帯を対象に加えている自治体も見られます。ただしこれはあくまで目安であり、要介護2以下でも対象になる自治体もあれば、独自の基準を設けている自治体もあります。「うちの親は要介護3じゃないから関係ない」と決めつけず、まずは対象かどうかを確認してみることをおすすめします。

避難行動要支援者名簿への登録の流れ

避難行動要支援者名簿への登録は、大まかに次のような流れで進むことが多いようです。まず、自治体から対象者へ案内が届くケースと、本人や家族が窓口に申請するケースの両方があります。次に、名簿に情報を載せることについて本人(または家族)の同意を取ります。同意が得られると、氏名や住所、緊急連絡先、必要な支援内容などが名簿に掲載されます。その後、民生委員や自主防災組織、近隣の支援者などと連携しながら、一人ひとりに合わせた個別避難計画を作成していく、という段階に進みます。ここまでの手順や所要期間は自治体によって差があるため、「うちの地域ではどう進むのか」を最初に確認しておくと見通しが立てやすくなります。

ケアマネジャーがいる場合/いない場合で変わる最初の一歩

最初の一歩は、親にケアマネジャー(介護支援専門員。ケアプランの作成や関係機関との調整を担当する専門職)がついているかどうかで変わってきます。ケアマネジャーがいる場合は、担当者会議やケアプランの見直し相談のタイミングで、個別避難計画について話題に出してみるとスムーズです。すでに親の生活状況を把握している専門職なので、話が早く進みやすいというメリットがあります。一方、要支援未満でサービスを利用していない、ケアマネジャーがついていない親の場合は、地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)や自治体の防災担当課に直接連絡するのが最初の一歩になります。「まだ介護保険は使っていないけれど、防災の相談をしたい」と伝えれば、担当窓口を案内してもらえることが多いようです。どちらのケースでも、まずは動き出してみることをおすすめします。

【山本利也(ケアマネージャー)からのひとこと】

施設のケアマネとして働いていると、家族だけで防災の話を切り出すのは意外とハードルが高いんだなと感じます。担当者会議やケアプラン相談は、本人・家族・専門職が顔をそろえる貴重な場です。そこで「実は防災のことも相談したいんですが」と一言添えるだけで、話が一気に具体的になることがよくあります。実際、私が担当した利用者さんでも、家族だけでは進まなかった避難支援者の調整が、会議の場で自然に決まったケースがありました。次の面談のときに、ぜひ話題に出してみてください。

「うちの自治体はどうなの?」の確認先と聞き方の例

「うちの自治体はどうなの?」の確認先と聞き方の例

「うちの自治体は個別避難計画をどう扱っているのだろう」と気になったら、まずは市区町村の防災担当課、または地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。電話で聞く場合は、次のように伝えるとスムーズです。「〇〇(親の名前)の家族です。避難行動要支援者名簿に登録されているか、個別避難計画の対象になるか確認したいのですが」。この一言があれば、担当窓口を案内してもらいやすくなります。窓口の名称は「福祉課」「高齢者支援課」「防災危機管理課」など自治体によってさまざまで、対応の丁寧さやスピードにも差があります。つながらない場合や案内がわかりにくい場合は、地域包括支援センターに聞き直してみるとよいでしょう。

実家との話し合い方|防災の日をきっかけにする切り出し方

離れて暮らす親に防災の話を切り出すときは、深刻になりすぎない言い方を選ぶと受け止めてもらいやすくなります。たとえば「9月1日が防災の日だから、うちの分だけでも確認しておこうか」といった軽いトーンで切り出すと、身構えさせずに話を始められます。話の中では、いざというときに手を貸してくれる避難支援者(近隣の方や親族など)を誰にお願いできそうか、避難支援者の確保についても軽く触れておくとよいでしょう。近所付き合いのある方や、すぐ駆けつけられる親族がいれば、心強い存在になります。一度に全部を決めようとせず、まずは確認するところから始めてみませんか。

もしものときに実家と連絡が取れなくなると、それだけで不安が大きくなります。停電時にもスマートフォンを充電できる大容量のモバイルバッテリーを一台備えておけば、避難支援者や家族との連絡手段を確保しやすくなります。防災の日をきっかけに、実家用・自分用にひとつ用意しておくと安心です。モバイルバッテリー(大容量)をAmazonで探す

今週やることチェックリスト

最後に、今週中にできることを絞ってご紹介します。

  • 地域包括支援センターまたは自治体の防災担当課に、電話で対象かどうかを確認する
  • 親にケアマネジャーがついていれば、次回の訪問や相談のタイミングで個別避難計画のことを聞いてみる
  • 実家に一本電話をかけて、防災の日をきっかけに軽く話題を切り出してみる

この3つのうち、まずはどれか1つからで構いません。小さな一歩でも、確認しておくだけで安心感が変わってきます。

今週やることのひとつとして、情報収集と灯り、充電を1台でまかなえる手回し充電式の防災ラジオを備えておくのもおすすめです。停電で電話がつながりにくいときでも、ラジオで自治体の避難情報を確認できると心強いものです。防災ラジオ(手回し充電)をAmazonで探す

関連記事・もっと詳しく知りたい方へ

関連記事・もっと詳しく知りたい方へ

介護がはじまったばかりで、防災以外にも何から手をつければいいか迷っている方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。40代が直面する介護の実態|親の介護が始まったらまずやることでは、初期に整理しておきたいポイントをまとめています。

写真:Photos of Korea via Unsplash