
「親の介護が始まったら、仕事を辞めるしかないのか…」と感じている方は少なくありません。実際、2024年には約9万3,000人が介護を理由に離職しています(厚生労働省調査)。しかし、介護しながら仕事を続けることは、制度を正しく使えば十分に可能です。
この記事では、仕事と介護の両立を目指す40代に向けて、今すぐ使える制度・会社への相談の進め方・介護サービスの活用法を実用的にまとめました。
仕事と介護の両立は「制度を使う」「外に頼む」の2軸で実現できる
介護しながら仕事を続けるために押さえるべきポイントは、大きく次の5つです。
- 介護離職のリスクを正しく理解する
- 会社に早めに報告・相談する
- 介護休業・介護休暇制度を正しく使う
- 介護休業給付金を受け取る
- 介護サービスを使って「一人で抱えない」仕組みをつくる
それぞれ詳しく解説します。
介護離職のリスク:なぜ40代がもっとも危険なのか
介護離職が40代に集中する背景には、仕事・育児・介護が同時に重なる「サンドイッチ世代」という構造的な問題があります。職場でも中堅〜管理職クラスになり、責任が重くなる時期と親の老化が重なるのです。
介護離職がもたらすリスクは、収入の喪失だけではありません。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 収入の喪失 | 退職後に再就職しても、元の収入水準に戻れないケースが多い |
| 社会保険の喪失 | 厚生年金・健康保険の保障が弱まる。老後の年金額も減少 |
| キャリアの断絶 | 介護終了後の再就職が困難になることがある(特に50代以降) |
| 介護負担の増大 | 仕事をやめると24時間介護になりやすく、かえって燃え尽きるリスク |
「まず仕事をやめてから介護に専念しよう」という選択が、長い目で見て介護者自身を追い詰めることがあります。できるだけ仕事を続けながら介護する方法を探すことが、持続可能な介護のポイントです。
まず会社に「早めに相談する」ことが最初のステップ
仕事と介護の両立で最初につまずくのが、「会社にどのタイミングで、何を伝えればいいか分からない」という点です。
相談のタイミングは、介護が始まった・始まりそうと感じた時点が理想です。介護が深刻になってから慌てて相談すると、会社側も対応が後手になりやすく、選択肢が狭まります。
- まず直属の上司に伝える:具体的な状況(介護の対象者・頻度・通院頻度など)を整理した上で話す
- 人事部門にも相談する:介護休業・短時間勤務・テレワークなど、会社の制度を確認する
- 「退職するかも」ではなく「続けたい」という姿勢で話す:解決策を一緒に考えてもらいやすくなる
多くの会社では、従業員の介護休業に関する相談窓口や情報が人事部門にあります。まず「会社にどんな制度があるか」を確認するところから始めましょう。
介護休業・介護休暇制度の正しい使い方
仕事と介護の両立を支える法律上の制度として、「介護休業」と「介護休暇」があります。混同されることが多いですが、目的と使い方が異なります。
| 制度 | 目的 | 取得できる期間 | 分割 |
|---|---|---|---|
| 介護休業 | 介護体制を整えるための休業 | 対象家族1人につき通算93日 | 3回まで分割可能 |
| 介護休暇 | 急な通院付き添いや介護への対応 | 1年間に5日(対象2人以上は10日) | 1日・半日単位で取得可 |
介護休業は「介護するための長期休暇」ではなく、「在宅介護サービスや施設の手配など、介護の体制を整えるための期間」として使うのが本来の目的です。休業中にケアマネジャーの選定やサービス利用の準備を済ませておくと、復職後の両立がスムーズになります。
対象となる家族の範囲は、配偶者・両親・子・配偶者の両親・祖父母・兄弟姉妹・孫です。要件は「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」で、雇用保険加入者であればパートタイマーも利用できます。
介護休業給付金|仕事を休んでも収入を守る仕組み
介護休業を取得した場合、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。受け取れる金額は、休業開始前の賃金の67%(最大93日間)です。
受給の主な条件は次のとおりです。
- 雇用保険に加入していること(パート・派遣社員も条件を満たせば対象)
- 介護休業開始前の2年間に、雇用保険の加入期間が通算12カ月以上あること
- 介護休業中に、休業前の月賃金の80%以上の賃金が支払われていないこと
申請は、会社経由でハローワークへ行います。「申請が面倒」と諦める方も多いですが、給付金は会社からではなく国から支払われるため、会社に遠慮する必要はありません。会社の人事部門に「介護休業給付金の申請をお願いしたい」と伝えれば、手続きを案内してもらえます。
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介護サービスを使って「一人で抱えない」仕組みをつくる
仕事と介護の両立において最も重要なのが、「介護を自分だけで抱えない」という発想の転換です。介護保険サービスを活用することで、日常の介護負担を大幅に軽減できます。
| サービス | 内容 | 仕事との両立への効果 |
|---|---|---|
| デイサービス(通所介護) | 日中施設に通う。入浴・食事・レクなど | 日中の介護負担がなくなり、フルタイム勤務が可能に |
| 訪問介護 | ヘルパーが自宅に来て身体介護・生活援助 | 朝・夕方などピンポイントで頼める |
| ショートステイ(短期入所) | 数日〜数週間、施設に泊まる | 出張・繁忙期・自分の体調不良時に活用 |
| 夜間対応型訪問介護 | 夜間にヘルパーが訪問 | 夜間の対応が必要な場合の精神的安心に |
サービスを使うには、まず「要介護認定申請」が必要です。まだ申請していない場合は、市区町村窓口または地域包括支援センターへ相談してください。認定を受けた後、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成し、利用するサービスを調整します。
短時間勤務・テレワーク・在宅勤務という働き方の選択肢
介護休業後の働き方として、法律では「短時間勤務(所定労働時間の短縮)」が認められています。申請できる期間は、要介護状態にある対象家族を介護する間です。
また、会社にテレワーク制度がある場合は積極的に活用しましょう。通勤時間がなくなることで、朝の準備介助や夕方のデイサービス送迎に対応しやすくなります。「テレワークで対応できる業務がある」と具体的に伝えると、会社も対応を検討しやすくなります。
もし現職では両立が難しい場合は、「介護に理解のある会社への転職」という選択肢もあります。ただし、転職後すぐは介護休業給付金の受給要件を満たせない場合があるため、転職のタイミングは慎重に判断してください。
まとめ:今すぐ始める3つのアクション
介護しながら仕事を続けるために、今すぐできることは3つです。
- 会社の人事部門に制度を確認する:介護休業・介護休暇・短時間勤務・テレワークの可否を確認する
- 地域包括支援センターに相談する:要介護認定の申請から介護サービスの調整まで、無料で相談できる
- ケアマネジャーを探す:介護サービスの窓口になるケアマネジャーを早めに決めると、いざというときに動きやすい
「まず退職して、それから考えよう」という選択は、長い目で見ると自分を追い詰めることになります。仕事を続けることは、自分の収入を守るためだけでなく、社会とのつながりを保ち、介護を長く続けるためのエネルギー源にもなります。制度を使い、人に頼りながら、自分のペースで続けていきましょう。
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