高額介護サービス費はいくら戻る?所得別上限と申請の流れ

介護保険・制度・手続き

親の介護サービスの利用料が毎月かさみ、「これはいつまで続くのだろう」と不安になっていませんか。介護保険には、1か月の自己負担が一定額を超えると、超えた分が戻ってくる「高額介護サービス費」という仕組みがあります。この記事では、所得ごとの上限額と戻る金額の計算方法、申請の流れを家族目線で整理します。

高額介護サービス費は、1か月の自己負担が上限額を超えた分が戻る制度です

先に答えをお伝えします。高額介護サービス費で戻る金額は、次の式で求められます。

戻る金額 = 1か月の介護サービスの自己負担合計 − 所得区分ごとの上限額

上限額は、住民税が課税されている一般的な世帯なら月44,400円です。たとえば1か月の自己負担が6万円なら、差額の15,600円が払い戻しとして介護保険から支給されます。受け取るには、住んでいる市区町村への申請が必要です。

所得区分ごとの上限額一覧(2026年9月時点)

高額介護サービス費の上限は、世帯の所得によって次のように分かれています。

区分 主な対象 上限額(月額)
第4段階③ 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 140,100円(世帯)
第4段階② 課税所得380万円(年収約770万円)〜690万円未満 93,000円(世帯)
第4段階① 住民税課税世帯で課税所得380万円未満 44,400円(世帯)
第3段階 世帯全員が住民税非課税(第1・第2段階以外) 24,600円(世帯)
第2段階 世帯全員が住民税非課税で、年金収入とその他の合計所得が80.9万円以下 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
第1段階 生活保護を受けている方など 15,000円(個人)

「世帯」は、同じ住民票の世帯で介護サービスを使った人全員の負担を合わせた上限です。「個人」は、利用したご本人だけの上限を指します。第4段階の課税所得は、同じ世帯にいる65歳以上の方の課税所得で判定されます。子どもであるあなたの収入で決まるわけではありません。

出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」介護保険の解説(サービスにかかる利用料)

いくら戻る?ケース別の計算例

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ここでは、上限44,400円(第4段階①)の世帯を例に計算してみます。

親1人が利用している場合

1か月の自己負担が62,000円だったとします。62,000円−44,400円=17,600円が戻る金額です。

父と母の2人が利用している場合

同じ世帯で2人が使っていると、2人の負担を合計して上限と比べます(世帯合算)。父が40,000円、母が20,000円なら合計60,000円です。60,000円−44,400円=15,600円が世帯として戻ります。実際の支給は、負担の割合に応じて父10,400円、母5,200円のように分けられます。1人ずつ見ると上限に届かなくても、合わせると対象になる点がポイントです。

第2段階で個人の上限が使われる場合

第2段階の方は、個人の上限15,000円が使われます。本人の負担が月30,000円なら、15,000円が戻る計算です。

上限に届きやすいのはどんなケースか

実は、1割負担で在宅サービスだけを使っている場合、44,400円の上限にはなかなか届きません。在宅サービスには要介護度ごとに「区分支給限度基準額」(介護保険で使える1か月の上限枠)があるためです。最も重い要介護5でも月36,217単位で、1割負担なら目安で3万6千円〜4万円程度にとどまります(1単位の単価は地域で異なります)。

一方で、次のようなケースは上限に届きやすくなります。

  • 2割・3割負担で、サービスを多めに使っている
  • 特養や老健などの施設に入所している
  • 父と母など、同じ世帯で2人以上が利用している
  • 第1〜第3段階で、上限額自体が低い

当てはまる場合は、毎月の請求額と上限額を一度見比べてみてください。

対象にならない費用に注意

対象にならない費用に注意に関連する記事用画像

介護にかかるお金のすべてが対象になるわけではありません。次の費用は、高額介護サービス費の計算に含まれません。

  • 施設の食費・居住費(部屋代)、理美容代などの日常生活費
  • 福祉用具の購入費や住宅改修費の自己負担分
  • 区分支給限度基準額を超えて使い、全額自己負担になった分
  • 介護保険の対象外のサービス(自費サービスなど)

施設の食費・居住費が重い場合は、別の制度である「負担限度額認定証」で軽くなる可能性があります。対象は住民税非課税世帯などに限られるため、条件を確認しておきましょう。

【山本利也(ケアマネージャー)からのひとこと】

施設ケアマネとして家族面談をしていると、「高額介護サービス費があるのに、なぜ請求が減らないのか」と聞かれることがよくあります。施設の請求書は、介護サービス費の自己負担分と、食費・居住費などが分かれて載っています。戻ってくる計算に入るのは前者だけです。まずは請求書の内訳を分けて見てみてください。わからない項目は、施設の相談員や私たちケアマネに遠慮なく聞いてくださいね。

申請の流れと期限(初回だけ手続き)

手続きの流れは、多くの自治体で次のようになっています。

  1. 上限を超えた月があると、数か月後に市区町村から申請書(お知らせ)が届く
  2. 申請書に振込先の口座などを書いて、郵送か窓口で提出する
  3. 審査のあと、支給決定の通知が届き、指定口座に振り込まれる

一度申請すれば、その後に上限を超えた月は申請なしで自動的に振り込まれる自治体が多いです。ただし、利用した月から振り込みまでは数か月かかるのが一般的なので、その間の支払いは見込んでおきましょう。

気をつけたいのは申請期限です。サービスを使った月の翌月1日から2年を過ぎると、時効で受け取れなくなります。お知らせは親の住所に届くため、親が気づかず放置してしまうことも少なくありません。帰省したときや電話のついでに、「役所から介護保険の封筒が来ていないか」を一緒に確認しておくと安心です。

なお、医療費と介護費の両方がかさむ世帯には、1年間の負担を合わせて軽くする「高額医療・高額介護合算制度」もあります。こちらは医療保険の窓口への申請が必要です。

※上限額や手続きの細かい運用は自治体によって異なる場合があります。最新情報はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口でご確認ください。

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高額介護サービス費は、1か月の自己負担が上限を超えた分が戻る制度です。上限額は所得区分で決まり、同じ世帯で複数人が使えば合算されます。まずは親の所得区分と毎月の請求額を確認し、役所からの申請書を見逃さないようにしておきましょう。

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