
親に遺言書作成を切り出すコツは「自分の話」から始めることです

親に遺言書の作成を勧めたい、できれば説得したいけれど、「縁起でもない」と怒らせそうで言い出せない。そんな悩みを抱える方は少なくありません。結論から言うと、親を主語にして切り出すのではなく、「自分自身の終活の話」や「ニュースで見た話」から始めると、角が立ちにくくなります。相続トラブルは財産の多い少ないに関わらず起こりうるため、揉める前の準備として、遺言書の作成をできるだけ早く話題にしておくことが大切です。
なぜ「揉める前」の準備が大切なのか

相続トラブルというと資産家の話だと思われがちですが、実際には遺産の額が大きくない家庭でも、きょうだい間の話し合いがまとまらないケースは珍しくありません。遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、意見がまとまらないと手続きが長期化してしまいます。親が元気で判断能力がはっきりしているうちに準備を進めておくことが、将来の家族の負担を減らす一番の近道です。
親が身構えない伝え方・避けたいNGワード
切り出し方を間違えると、「財産が狙いなのか」と親を不安にさせてしまうことがあります。次のような表現は避けたほうが無難です。
- 「もしものときのために」など死を強く連想させる言い方をいきなり使う
- 「うちの財産どうするの」と、財産の話から入る
- 「早く決めて」と急かすような言い方をする
代わりに、「最近こういうニュースを見て、うちも一度考えてみようと思って」というように、自分ごととして持ちかけると、親も身構えずに話を聞いてくれやすくなります。
会話のきっかけになる3つの具体例

実際にどう切り出せばよいか迷う方のために、使いやすいきっかけの例を紹介します。
- 自分の終活の話から入る:「私も一度エンディングノートを書いてみようと思うんだけど、お父さんお母さんはどう?」
- ニュースや知人の相続トラブルの話から入る:「知り合いのところで相続の話し合いが揉めたらしくて、うちも一度考えておきたいなと思って」
- お盆や正月など家族が集まるタイミングを活用する:「せっかく集まったから、これからのことを少し話しておきたいんだけど」
一度で結論を出そうとせず、「今日はきっかけ作りだけでいい」という気持ちで臨むと、親子とも負担が軽くなります。
記事内でも触れたように、自分の終活の話から切り出すなら、実際に手に取れるエンディングノートを用意しておくと会話のきっかけ作りがぐっとしやすくなります。書き方に迷わないよう項目が整理されたものを選ぶと、親子で一緒に眺めながら話しやすいです。エンディングノートをAmazonで探す
遺言書の種類と公正証書遺言の費用目安
遺言書には主に、自分で手書きする「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は手軽に作れる一方、書き方の不備で無効になったり、相続開始後に家庭裁判所での検認手続きが必要になったりする点に注意が必要です。公正証書遺言は公証人が関わるため形式面での不備が起きにくく、検認も不要です。
費用については、財産の額や依頼先によって大きく変わります。自分で手続きをする場合は10万〜15万円程度、専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)に依頼する場合は20万〜50万円程度が目安とされています。公証人手数料は財産の価額によって計算されるため、正確な金額は最寄りの公証役場や専門家に確認することをおすすめします。
自筆証書遺言の書き方や必要事項を自分たちで整理しておきたい場合は、遺言書の基本ルールがまとまったガイドブックを1冊手元に置いておくと安心です。公正証書遺言との違いや費用の考え方も理解しやすくなります。遺言書の書き方ガイドをAmazonで探す
話がまとまらないときの相談先
親に一度断られても、それで終わりにする必要はありません。次のような窓口を頼ることもできます。
| 相談先 | 特徴 |
|---|---|
| 公証役場 | 公正証書遺言の作成手続きについて相談できる |
| 弁護士・司法書士・行政書士 | 遺言内容の設計や書類作成のサポートを受けられる |
| 市区町村の無料相続相談窓口 | まずは気軽に相談したいときの入口として活用できる |
専門家が間に入ることで、親も「子どもに言われた」ではなく「専門家に勧められた」と受け止めやすくなり、話が進みやすくなることもあります。
関連記事・もっと詳しく知りたい方へ

相続でのきょうだい間のトラブルを未然に防ぐための考え方は、相続で兄弟が揉める原因と対策|財産別・連絡できない時の対処法で詳しく解説しています。あわせて読むことで、遺言書の準備と合わせた対策を考えやすくなります。
親に遺言書の作成を切り出すのは、勇気のいることです。一度に完璧な結論を出そうとせず、まずは「話すきっかけ」を作ることから始めてみてください。

