
「ヘルパーに来てもらいたいけど、費用がいくらかかるのか、どこに申し込めばいいのかわからない」——そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。訪問介護は、費用も手続きも要介護度や利用目的によって変わります。この記事では、申し込みの流れから費用の目安、利用できる制度まで、まとめて解説します。
訪問介護のヘルパー費用・手続きは要介護度と利用目的で変わる


訪問介護の費用は、要介護度が上がるほど使えるサービスの量が増え、利用目的(生活援助か身体介護か)によって単価も異なります。手続きは市区町村への申請から始まりますが、ケアマネジャー(介護支援専門員)を窓口にすれば、その後の調整はほぼ任せられます。まず認定を受けてケアマネを決める——この2点を押さえておくと、迷わずに動き出せます。
生活援助と身体介護の違い・できること一覧

訪問介護には大きく2つの区分があります。どちらの援助を使うかによって、費用も変わります。
| 区分 | 主な内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 生活援助 | 掃除・洗濯・買い物・調理・薬の管理補助など | 利用者本人のための家事全般 |
| 身体介護 | 入浴介助・排泄介助・移乗(車いすへの移動)・食事介助・通院同行など | 身体に直接触れるケア・外出支援 |
生活援助は「利用者本人のための家事」が対象です。家族分の料理や、利用者の部屋以外の掃除は含まれません。身体介護は体に触れる行為が中心で、通院の付き添いも含まれます。
要介護度別の月額費用シミュレーション(令和6年改定対応)
介護保険では、サービスの量を「単位」で管理します。1単位=約10円(地域によって10〜11.05円)です。令和6年改定後の単価を使った目安をご確認ください。
| サービス区分 | 時間 | 単位数 | 自己負担(1割の場合) |
|---|---|---|---|
| 身体介護 | 30分〜60分 | 396単位 | 約396円/回 |
| 生活援助 | 45分以上 | 225単位 | 約225円/回 |
※厚生労働省令和6年度介護報酬改定(2024年4月施行)に基づく
モデルケース①:週3回の身体介護(30〜60分)を月12回利用した場合
396円×12回=月額約4,752円(1割負担・10円換算)
モデルケース②:生活援助を月10回利用した場合
225円×10回=月額約2,250円(1割負担・10円換算)
自己負担割合は収入によって1〜3割に変わります。また要介護度ごとに使えるサービスの上限額(区分支給限度基準額)が設定されており、限度額を超えると全額自己負担になります。※地域加算や事業所加算により、実際の費用は変わる場合があります。最新情報は各自治体または担当ケアマネジャーにご確認ください。
ヘルパーを頼む手順:申し込みから初訪問まで
訪問介護を利用するには、まず要介護認定を受けることが必要です。以下の流れで進みます。
- 市区町村の窓口で要介護認定を申請する(本人または家族が申請可)
- 認定調査・審査を受ける(法律上は申請から30日以内に通知されることが原則ですが、地域によっては1〜3か月程度かかる場合があります)
- ケアマネジャーを選び、ケアプランを作成してもらう
- 訪問介護事業所と契約する(ケアマネが候補をいくつか提示してくれます)
- サービス開始・初訪問
なお、認定結果が出る前でも「暫定ケアプラン」を作成することで、サービスを先行して利用できる場合があります。急いで介護が必要な場合は、ケアマネジャーに相談してみてください。ケアマネに相談すれば、事業所探しから契約手続きまで動いてもらえます。
ケアマネジャーとの打ち合わせや日々のサービス内容を記録しておくと、後の確認や引き継ぎがスムーズになります。介護記録ノートをひとつ手元に置いておくと、家族間で状況を共有しやすくなります。介護記録ノートをAmazonで探す
介護保険の訪問介護 利用回数とケアプランの基準

生活援助には、介護保険制度上の「利用回数の目安基準」があります。以下の回数を超えると、ケアマネジャーが市区町村へ理由を届け出る仕組みになっています。
| 要介護度 | 生活援助の目安回数(月) |
|---|---|
| 要介護1 | 27回以上 |
| 要介護2 | 34回以上 |
| 要介護3 | 43回以上 |
| 要介護4 | 38回以上 |
| 要介護5 | 31回以上 |
※出典:厚生労働省「生活援助の訪問回数が多いケアプランの届出」(2018年10月施行)
この基準を超えることが「禁止」というわけではありません。必要性があればケアマネが理由を記録・届け出ることで、継続してサービスを利用できます。「なぜそんなに使うのか」を確認するための仕組みです。気になる場合は、担当ケアマネジャーに相談してみましょう。
費用を抑える3つの制度
介護保険の自己負担が重くなったときに使える軽減制度があります。申請しないと受け取れない制度もあるため、早めに確認しておくことが大切です。
- 高額介護サービス費:1か月の自己負担が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です(例:一般的な住民税課税世帯の場合、上限44,400円)。
- 社会福祉法人等による軽減制度:低所得の方が社会福祉法人の運営する事業所を利用した場合、利用料が最大4分の1軽減されます。市区町村への申請が必要です。
- 高額医療・介護合算制度:医療費と介護費の自己負担を合算し、年間の上限額を超えた部分が払い戻されます。医療費と介護費の両方が重なっている世帯に特に有効です。
どの制度も窓口への申請が必要です。自動的に受け取れるわけではないため、「使えそう」と思ったら早めに動くことをおすすめします。詳しくは介護で使える制度10選もあわせてご覧ください。
ヘルパーにできないこと早見表
「お願いしたのに断られた」と感じたことがある方もいるかもしれません。訪問介護には、介護保険制度上「できないこと」が明確に定められています。
- 医療行為(インスリン注射・痰の吸引・摘便など)
- 利用者以外の家族分の調理・洗濯
- 庭の草むしりや大掃除・窓の外側の掃除
- ペットの世話
- 利用者の部屋以外の掃除や片付け
- 話し相手・見守りのみを目的とした滞在
「できない」とされる行為には必ず理由があります。制度の趣旨(保険の対象外・安全上の問題など)を知ると、納得しやすくなります。
介護保険制度の仕組みや利用できるサービスの範囲を正確に把握したい方には、図解入りのガイドブックが役立ちます。制度の全体像をつかむことで、ケアマネジャーとの話し合いもスムーズに進みます。介護保険ガイドブックをAmazonで探す
※以下は、現場ヘルパーの声をもとに編集部が作成したイメージコメントです
【佐藤ヘルパー(訪問介護歴8年)からのひとこと】
「断られた」と感じるご家族は多いのですが、ヘルパーが拒否しているわけではなく、制度上できないことが決まっているんです。たとえばペットの世話や家族分の料理は、保険の対象外とされています。現場では「何をお願いできるか」をケアプランに明記してもらうと、ヘルパーも動きやすくなります。困ったことがあれば、ヘルパーより先にケアマネジャーに相談してみてください。担当者への橋渡しをしてもらえますよ。
ヘルパーとのやり取りに不安がある方は、訪問介護ヘルパーとの上手な付き合い方も参考にしてみてください。
もっと詳しく知りたい方へ

訪問介護のほかにも、デイサービスや福祉用具貸与など介護保険で使えるサービスは多岐にわたります。サービス全体を把握したい方は介護保険サービスの種類と使い方 完全一覧をご覧ください。
まずは市区町村の窓口またはケアマネジャーへの相談が、訪問介護を始める第一歩です。「相談するだけ」でも動き出せるので、ぜひ早めに声をかけてみてください。

