親の死後に立ち直れない介護経験者のグリーフケア

看取り・終末期ケア

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親の死後に立ち直れない方へ——介護経験者のグリーフケアが複雑な理由

親の死後に立ち直れない方へ——介護経験者のグリーフケアが複雑な理由
親の死後に立ち直れない方へ

親の死後、立ち直れないまま時間が過ぎていく——グリーフケアが必要だとわかっていても、何から始めればいいかわからない方へ、この記事を書きました。

親を看取ってから、もう何ヶ月も経ちます。

なのに、ぼんやりとした空虚感が続いている。

「そろそろ立ち直らないといけない」と思うほど、自分を責める気持ちが強くなる。

私もそうでした。介護が終わった後の自分が、こんなにも不安定だとは思っていませんでした。

介護経験者のグリーフが「複雑」な理由――燃え尽き・罪悪感・解放感が同時に押し寄せる

介護経験者のグリーフが「複雑」な理由――燃え尽き・罪悪感・解放感が同時に押し寄せる
介護経験者のグリーフが複雑な理由

介護を経験した後の悲嘆は、ただ「親を失った悲しみ」だけではありません。

そこには少なくとも3つの感情が同時に存在すると言われています。

ひとつめは、燃え尽き感です。

介護中、私はずっと「今日も乗り越えた」という感覚で走り続けていました。

感情を押し込めて、疲れを後回しにして、「終わってから休もう」と思い続けていた。

でも終わった瞬間に、体と心が止まる場所を失って、ぐらぐらと揺れ始めました。

ふたつめは、罪悪感です。

「もっとやさしくできたはずだ」「あのとき怒鳴らなければよかった」「最後に手を握れなかった」。

こういう記憶は、なぜか悲しみよりも先に浮かんできます。

完璧な介護などというものは、おそらく存在しないと思います。

でも頭でわかっていても、夜になると責める声が聞こえてくる。

みっつめは、解放感と、それに伴う自己嫌悪です。

「やっと終わった」と感じた瞬間、その感情に気づいた自分を責めた人は少なくないと思います。

「親が死んでほっとするなんて、最低な子どもだ」と。

でも、それは長期の介護を経験した人に自然に生まれる感情だとも言われています。

その感覚を持つことは、親への愛情の薄さを意味しません。

この3つが同時に存在するとき、悲嘆はひどく複雑なかたちをとります。

立ち直れないのは、意志が弱いからではありません。

「ポスト介護ロス」と悲嘆の二重構造――親を失う前から始まっていたグリーフ

グリーフは親が亡くなってから始まるわけではないと言われています。

介護が始まった日から、すでに少しずつ始まっていたとも言えます。

認知症が進む親の顔を見るたびに、「もう昔のお母さんじゃない」と感じた瞬間があったかもしれません。

施設に入ってもらったとき、「一緒に暮らす日々が終わった」と思ったかもしれない。

こういった感情を「予期悲嘆」と呼ぶことがあります。

喪失が起きる前から始まる、静かなグリーフです。

そして親が亡くなると、もうひとつの喪失が重なります。

「介護する人」という役割の喪失です。

何年も、自分の時間の大半を介護に使ってきた。

それが突然なくなったとき、「自分は何者なのか」がわからなくなることがあります。

これを「ポスト介護ロス」と呼ぶ人もいます。

つまり看取り後の私たちには、少なくとも2層の悲嘆が重なっています。

親を失う悲しみと、介護という役割を失う喪失感。

この二重構造を知るだけで、「なぜこんなに苦しいのか」が少し腑に落ちることがあります。

悲嘆が落ち着いていく過程――「立ち直り」ではなく「折り合い」を目指す

悲嘆が落ち着いていく過程

悲嘆にはいくつかの段階があるとも言われています。

よく知られているのは、キュープラー=ロスの5段階モデルです。

否認→怒り→取引→抑うつ→受容、という流れです。

ただしこの段階は、必ずしもこの順番どおりに進みません。

怒りが来てから否認に戻ることもある。

受容したと思ったのに、ふとした瞬間に悲しみが蘇ることもある。

それはグリーフのプロセスが失敗しているのではなく、そういうものだとも言われています。

私は「立ち直る」という言葉が苦手になりました。

立ち直るというのは、元の状態に戻ることのように聞こえるから。

でも親を亡くした後の私は、もう以前の私とは違う。

元には戻れないし、戻る必要もないのかもしれない。

だから私は「折り合いをつける」という言葉を使うようにしています。

悲しみを消すのではなく、悲しみと一緒に生きていけるようになること。

それで十分なのだと、少しずつ思えるようになりました。

40〜50代が今日からできるグリーフケアの実践――仕事・家族を抱えながらでも

40〜50代は、仕事も家庭も抱えながら悲嘆を抱えています。

「ゆっくり休む時間なんてない」という人も多いと思います。

でも、グリーフケアは大げさなことをしなくていいのかもしれません。

グリーフジャーナル:ノートに、今日感じたことを3行だけ書く。

うまく書こうとしなくていい。「なんか空虚だった」でも「電車で急に泣けてきた」でも。

書くことで感情が少し外に出やすくなると言われています。

感情を書き出す習慣を始めたいときは、シンプルで書きやすいノートがあると続けやすくなります。日記帳にこだわらず、自分が手に取りやすいものを選んでみてください。日記帳をAmazonで探す

遺品と向き合う日を決める:片づけられないことへの罪悪感を持つ必要はありません。

「月に一度だけ、30分だけ向き合う」と決めるだけでも、気持ちの整理が進むことがあります。

信頼できる人に言葉にする:「つらい」と口に出せる相手がひとりいるだけで、孤立感が和らぐことがあります。

うまく話せなくていい。「なんかしんどくて」でも、聞いてもらえる場があることが大切だとも言われています。

専門家への相談:グリーフカウンセラーや心療内科に相談することは、弱さではありません。

感情を整理するための方法を、一緒に考えてもらえることがあります。

全部できなくてもいいです。ひとつだけやってみるだけでいい。

【山本利也(ケアマネージャー)からのひとこと】

介護が終わった後も、地域包括支援センターや施設のケアマネージャーに相談することができます。「もう介護は終わったから」と遠慮される方も多いのですが、看取り後のご家族の心のケアについても、必要に応じて専門の相談窓口へおつなぎすることが可能です。一人で抱え込まず、まずは気軽に声をかけていただければと思います。

一人で抱え込まないための相談窓口・サポートリスト

悲嘆の中にいるとき、自分から助けを求めるのはとても難しいことです。

でも、相談できる場所はいくつか存在しています。

  • よりそいホットライン(0120-279-338):24時間365日つながることができます。悲嘆・喪失に関する相談も受けています。
  • 地域包括支援センター:介護が終わった後でも無料で相談できます。看取り後のご家族の心のケアについても対応してもらえることがあります。
  • グリーフカウンセリング専門機関・NPO:「日本グリーフ専門士協会」などは、グリーフに特化したカウンセリングを受けられる専門家の情報を提供している団体のひとつです。
  • かかりつけ医・心療内科:眠れない、食欲がない、気力が出ないといった状態が続く場合は、身体面も含めて診てもらうことが大切だと言われています。

「こんなことで相談していいのか」と思う必要はありません。

あなたが感じていることは、ちゃんと相談に値することです。

グリーフについてもう少し詳しく知りたいときは、専門家が書いた本を手元に置くのもひとつの方法です。自分のペースで、必要なときに読み返せます。グリーフケアの本をAmazonで探す

看取り介護についてもっと詳しく知りたい方へ

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看取りに至るまでの介護のことをもう少し知りたい方は、看取り介護ガイドもあわせてご覧ください。