
10月に入ると、子どもの運動会や学芸会のお知らせと、親のインフルエンザ予防接種や定期受診の案内が、同じ週に届くことがあります。ダブルケア(子育てと親の介護を同時に担うこと)をしていると、秋はとくに予定がかぶりやすい季節です。この記事では、運動会と親の通院が重なったときの優先順位の付け方と、頼れる先の探し方をまとめました。
ダブルケアで運動会と親の通院がかぶったら「動かせる方」から考える

予定がかぶったとき、最初に確認したいのは「どちらが動かせるか」です。学校行事は日程の変更がきかない一期一会な面がありますが、通院は内容によって日程の調整ができたり、付き添いを他の人に任せられたりする余地があることも少なくありません。ただし、急を要する受診や本人の体調によっては、動かせないケースもあります。まずは通院の中身を確認したうえで、「動かせるかどうか」を軸に優先順位を決めるのが現実的です。
なぜ秋は行事と通院が重なりやすいのか

秋は運動会・学芸会・参観日といった学校行事が集中する時期です。同じ時期に、高齢の親のインフルエンザ予防接種(自治体によって10月頃から開始されることが多いとされています)や、季節の変わり目に増えやすい体調不良での受診が重なりがちになります。学校行事は年度初めの年間予定表で日程がわかっている一方、通院は急に決まることもあるため、後から予定が「かぶっている」と気づく方が多いようです。ちなみに内閣府の調査(2016年公表)では、育児と介護を同時に担う人は全国に推計25万人ともいわれており、めずらしい状況ではありません。
まず確認したいこと:その通院、動かせますか?
予定がかぶっていると気づいたら、まずかかりつけ医や病院の窓口に「日程の変更が可能か」を確認してみましょう。定期受診や予防接種であれば、数日から数週間ずらせることも少なくありません。一方で、検査結果の説明や治療の節目にあたる受診など、動かしづらいものもあります。判断に迷うときは、遠慮せず医療機関に事情を伝えて相談してみてください。
動かせない通院は、自分以外の人に任せる方法を考える

通院の日程がどうしても動かせない場合は、自分以外の人に付き添いを任せる方法を検討します。
- 訪問介護の「通院等乗降介助」:要介護1〜5の認定を受けていて、ケアマネジャーが作成するケアプランに位置づけられていれば、訪問介護員が車の乗り降りや院内の移動、受診の手続きなどを手伝ってくれるサービスです(要支援1・2の方は対象外とされています)。
- 介護タクシー:乗降介助を専門に行う事業者もあります。料金体系は事業者によって異なるため、事前の確認がおすすめです。
- 家族・親族:配偶者やきょうだいに、その日だけ付き添いを代わってもらえないか相談してみるのも一つの方法です。
どの方法が使えるかは自治体やケアプランの内容によって差があります。担当のケアマネジャーに早めに相談しておくと、いざというときに動きやすくなります。
【山本利也(ケアマネージャー)からのひとこと】
秋は行事の予定と通院がかぶるというご相談を、担当しているご家族からよく受けます。通院等乗降介助は「今日だけ」というスポット的な使い方がしづらく、あらかじめケアプランに組み込んでおく必要があるので、かぶりそうな日が見えた時点で早めに相談してもらえると助かります。学校行事の年間予定が出た段階で一度ケアマネに共有していただくと、こちらも先回りして調整しやすくなります。
学校行事に行けない日、子どもにどう伝えるか
どうしても運動会に行けない年もあります。その場合は「行けない理由」を隠さず、子どもの年齢に合わせて簡単に伝えておくと、当日の気持ちの準備になりやすいといわれています。動画を撮ってもらう、後で一緒に写真を見返す時間を作るなど、「行けなかった分」を別の形で埋め合わせる工夫をしている家庭も多いようです。配偶者や祖父母などに、代わりに応援に行ってもらえないか早めに相談しておくのも一つの方法です。
きょうだいや家族に「秋だけ」お願いする言い方
ダブルケアをしていると日頃は一人で抱えがちですが、行事シーズンだけは周囲を頼ってよい場面です。
- 「〇月〇日は子どもの運動会と親の通院が重なるので、その日だけ通院に付き添ってもらえない?」と、日付と内容を具体的に伝える。
- LINEグループなどで、学校行事と通院の予定を家族で共有しておく。
- 「毎回」ではなく「この時期だけ」と期間を区切って頼むと、相手も引き受けやすくなります。
一度にすべてを解決しようとせず、頼れる人に少しずつ分担してもらう意識を持つと、秋の忙しさを乗り切りやすくなります。
学校行事と通院の予定は、壁掛けの家族共有カレンダーに書き出しておくと、かぶりそうな日に早く気づけます。家族の目につく場所に置いておくだけで、頼みごとのきっかけにもなります。家族共有カレンダーをAmazonで探す
秋のうちにやっておくと、次が楽になること

来年以降も、同じように予定がかぶる可能性はあります。学校の年間行事予定が配られたタイミングで、親の通院スケジュールと照らし合わせておくと、早めに「かぶりそうな日」に気づけます。ケアマネジャーに学校行事の予定を伝えておく、家族間の連絡手段を決めておくなど、今のうちにできる準備をしておくと、来年の秋は今年より少し楽になるはずです。
運動会と通院がかぶる秋は、ダブルケアをしている人にとって特に慌ただしい時期です。すべてを一人で抱え込まず、動かせる予定と動かせない予定を見極めながら、頼れる人やサービスに少しずつ任せていきましょう。

