認知症の親の介護を家族だけで続けていて、「誰に相談すればいいのかわからない」と感じていませんか。認知症の相談先は、困りごとの種類によって役割が分かれています。この記事では、家族が一人で抱え込まないための相談先と、支援の上手な使い方を整理します。
認知症の家族介護は、困りごと別に相談先を分ければ一人で抱え込まずに済みます
先に答えをお伝えします。認知症の介護の悩みは、大きく「受診や症状のこと」「介護サービスのこと」「家族の気持ちのこと」の3つに分けられます。それぞれ得意な窓口が違うため、1か所ですべてを解決しようとしなくて大丈夫です。
どこから始めればいいか迷ったら、最初の1本は親が住む地域の地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)に電話してください。相談は無料で、必要に応じてほかの窓口にもつないでもらえます。
抱え込みやすいのは「診断の前後」と「症状が変わったとき」
家族が一人で抱え込みやすい時期には、共通点があります。ひとつは、物忘れが気になり始めてから診断を受け、サービスにつながるまでの間です。まだ介護保険を使っていないため、相談できる専門職が身近にいません。
もうひとつは、夜中に起き出す、怒りっぽくなるなど、症状が変わったときです。「前は何とかなったのに」と焦り、周りに言いづらいまま疲れがたまっていきます。「認知症の介護に疲れた」と感じたら、それは相談を始める合図だと考えてください。
困りごと別・認知症の相談先早見表

主な相談先と、向いている場面をまとめました(2026年9月時点)。
| 相談先 | 相談できること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 介護・医療・福祉の総合相談 | 何から始めればいいかわからない |
| かかりつけ医・もの忘れ外来 | 症状の相談、受診、専門医の紹介 | 物忘れが気になる、薬のことを聞きたい |
| 認知症疾患医療センター | 専門的な診断、医療相談 | 詳しい検査や診断を受けたい |
| 認知症初期集中支援チーム | 医療と介護の専門職による家庭訪問 | 本人が受診やサービスを嫌がる |
| ケアマネジャー(介護支援専門員) | ケアプランの作成、サービスの調整 | 要介護認定を受けたあと |
| 認知症の人と家族の会(電話相談) | 介護経験者による悩み相談 | 気持ちを聞いてほしい |
| 若年性認知症コールセンター | 65歳未満で発症した認知症の相談 | 仕事やお金のことも心配 |
認知症初期集中支援チームは、医療と介護の専門職が自宅を訪ね、おおむね6か月をめどに集中的に支えてくれる仕組みです。多くの場合、地域包括支援センターを通じて利用につながります。
最初の1本は地域包括支援センターへ。伝えることは3つ
地域包括支援センターは、親が住んでいる住所によって担当が決まります。離れて暮らす家族からの電話相談にも、多くのセンターが応じています。担当がわからないときは、市区町村の介護保険の窓口に聞けば教えてもらえます。
電話では、次の3つを伝えると話が早く進みます。
- 困っている場面(例:同じ話を何度もする、夜に外へ出ようとする)
- その頻度と、いつごろから続いているか
- 家族の状況(仕事の有無、どこまでなら対応できるか)
3つ目の「家族の限界」も、遠慮せずに伝えてください。支援の組み立ては、家族が無理なく続けられることが前提になるからです。まだ要介護認定を受けていない場合は、申請の手続きもここで相談できます。
介護保険サービスは「家族が離れる時間」をつくるために使う

要介護認定を受けると、デイサービス(日帰りで通う施設)やショートステイ(短期間の宿泊)、訪問介護などが使えるようになります。認定の結果が出るまでは、申請から原則30日以内です。
これらのサービスは、本人のためだけのものではありません。家族が仕事をしたり、眠ったりする時間をつくることも大切な目的のひとつです。「人に任せるのは申し訳ない」と感じる方は多いですが、家族が倒れてしまえば在宅介護そのものが続きません。認知症の家族を支える支援は、介護する側を守る意味もあると考えてください。
【佐藤ヘルパー(訪問介護歴8年)からのひとこと】
訪問介護の現場では、「私がやらないと」と一人で頑張りすぎて、ヘルパーが入る頃には家族のほうが限界、という場面をよく見ます。週に1〜2回でもデイサービスやヘルパーが入ると、家族に笑顔が戻ることは珍しくありません。家族の表情がやわらぐと、本人も落ち着きやすいように感じます。任せることに罪悪感を持たず、困っていることはそのまま私たちに話してくださいね。
気持ちを話せる場所を別に持っておく
サービスが整っても、つらさや愚痴を話せる場所は別に必要です。公益社団法人「認知症の人と家族の会」では、介護を経験した人が電話相談に応じています。
- 認知症の人と家族の会:0120-294-456(平日10時〜15時、携帯電話からは050-5358-6578・通話料あり)
- 若年性認知症コールセンター:0800-100-2707(月〜土曜の10時〜15時、水曜は19時まで。祝日・年末年始を除く)
顔を合わせて話したい方には、認知症カフェや家族会もあります。認知症カフェは、本人や家族、地域の人、専門職が気軽に集まれる場で、厚生労働省の2023年度の調査では、全国8,558か所で運営されていました。開催場所は地域包括支援センターで教えてもらえます。
※受付時間や開催状況は変わることがあります。利用前に各窓口の公式情報をご確認ください。
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認知症の親との日々の関わり方を知りたい方は → 認知症の親への接し方:家族が今日から使える5つの基本
認知症の介護の相談先は、受診・介護サービス・家族の気持ちで役割が分かれています。まずは地域包括支援センターに、困っている場面と家族の状況を伝えてみてください。一人で抱えていた重さを、少しずつ分け合えるはずです。

